私のサイクロプス 


 2025.3.27      グロテスクすぎる描写の数々 【私のサイクロプス】


                     
私のサイクロプス(2) (角川文庫) [ 山白朝子 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
山白朝子の蝋庵シリーズ。耳彦が様々な恐怖体験をする物語だ。「エムブリヲ奇譚」からの連作短編のような形ではあるが、本作単体で読んだとしても問題はない。相変わらず残酷で救いようのない話もあるのだが、これが売りだという考え方もある。強烈なインパクトがあるのは、やはり耳彦がひどい目に合う物語だろう。

表題作でもある「私のサイクロプス」は非常に単純な物語だ。旅をする三人の中で輪がサイクロプスに出会うという物語だ。山奥に怪物がいるというのが物語のポイントなのだが、そのサイクロプスが村人たちから化け物として対処されそうになるというのが物語のポイントなのだろう。その後の物語でサイクロプス騒動の後日談があるというのが良い。

■ストーリー
出ては迷う旅本作家・和泉蝋庵の道中。荷物もちの耳彦とおつきの少女・輪、三人が辿りつく先で出会うのは悲劇かそれとも……。怪談専門誌「幽」の人気連載に書き下ろし「星と熊の悲劇」を加えた九篇の連作短編集。

■感想
耳彦がろくでなしな男というのはわかっていた。ゾクリとした恐ろしさがあるのは「水汲み木箱の行方」だ。奥深い井戸から水をくみ上げるのが女には大変な作業となっていた。夫は女のために必死で水汲みを行うのだが…。

男は殺されてしまう。。。殺されたはずの男の心臓だけが動き続けているのは恐ろしい。頭の中には心臓だけがドクドクと動き続ける映像が思い浮かんだ。さらに恐ろしいのは、その心臓に腸などをつないで、井戸から水をくみ上げているというのが気持ち悪るすぎる。

書きおろし作品である「星と熊の悲劇」は、結局は熊がすべての動物の中で一番恐ろしいというを感じた。一度入り込むと下ることができない山。上り続けるしかできない。そのため、帰ることができない迷い人たちだけで山の中腹に村ができたりもする。

その村に巨大な熊がやってくると…。熊が首尾よく山に登ってくれれば村は安泰なのだが…。熊と村人たちの駆け引きと、登り切った先の頂上には謎の鏡があり、それに引き寄せられる人々というのが恐ろしい。ラストの結末も悲しすぎる流れだ。

「鼻削ぎ寺」や「河童の里」のような監禁される系は恐ろしい。というか、監禁された状態で自分の体にたかっている蛆をタンパク源として食べざるお得ない環境というのはすさまじい。糞尿も垂れ流しでおり、生きることだけしか目的としていない。

耳彦が文字が読めるからと生き永らえさせられているだけ。用なしとなれば無慈悲に鼻を削がれて殺されてしまうのがオチでしかない。まさに山白朝子のグロテスクな魅力が詰まっている。これ系のファンが一定数いるのだろう。

強烈なグロテスクさのある物語だ。



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