シャーロック・ホームズの凱旋 (単行本) [ 森見登美彦 ]
評価:3
森見登美彦おすすめランキング
■ヒトコト感想
正直よくわからない物語だ。シャーロックホームズを元ネタとしており、舞台が京都で事件が巻き起こるということなのだが…。モリアーティ教授やアイリーンがホームズのご近所さんだったり、劇中劇でロンドンでのホームズの活動が描かれていたり。これまでのホームズの活躍した事件も多数登場したりと、事前知識としてある程度ホームズを知っていないと楽しめないだろう。
自分の場合は、小説はそれほど読んではいないが、映画版でロバートダウニージュニア主演の「シャーロックホームズ」は2作とも見た。ある程度事前知識があっても、序盤の京都でのホームズたちのドタバタというのは少し意味がわからなかった。最終的にはどんな物語かというのを説明するのは難しい作品だ。
■ストーリー
舞台はヴィクトリア朝京都。洛中洛外に名を轟かせた名探偵ホームズが……まさかの大スランプ!?この手記は脱出不可能の迷宮と化した舞台裏からの報告書である。いつの間にか迷いこんだその舞台裏において、私たちはかつて経験したことのない「非探偵小説的な冒険」を強いられることになったわけだが、世の人々がその冒険について知ることはなかった。スランプに陥ってからというもの、シャーロック・ホームズは世間的には死んだも同然であり、それはこの私、ジョン・H・ワトソンにしても同様だったからである。シャーロック・ホームズの沈黙は、ジョン・H・ワトソンの沈黙でもあった。
■感想
序盤は京都を舞台にしたホームズたちのドタバタだ。探偵としてスランプに陥ったホームズ。ご近所さんのモリアーティ教授も同じくスランプとなり、夜に街を徘徊する老人となっている。
アイリーンはホームズのライバル探偵として存在し、アイリーンの活躍をメアリが記録して出版するなど、パラレルワールドとして京都を舞台に描かれている。ワトソンが狂言回し役になるのだが…。人が行方不明になるという謎の部屋で超常現象を経験するなど、純粋な探偵小説とはかけ離れた展開となっている。
謎の部屋で超常現象が発生し、十二年前に行方不明となった少女が戻ってきた。代わりにモリアーティ教授が謎の部屋に囚われの身となってしまうのだが…。この部分がパラレルワールドの入り口ということなのだろう。謎の部屋はロンドンに通じており、そこからロンドンの物語となる。
劇中劇でロンドンでのワトソンが描いた小説が、京都を舞台にした小説というのがよくわからない。そこから入り混じるような感じとなり、ロンドンでのホームズたちのドタバタは、オーソドックスなキャラ設定となっている。
ラストもよくわからないまま終わっている。一番の原因はキャラ設定が京都とロンドンで異なることだ。京都ではホームズとモリアーティ教授は仲良しということになっている。実際のホームズでは宿命のライバルということになっているのだが…。
メアリがアイリーンの事件解決を小説化しているなんてのは、かなり意外な展開だ。結局のところ、謎の部屋の存在だとか、ロンドンと京都の関係がどうだとかは明確に説明されていない。どちらが本当の世界なのかも不明だ。
独特すぎるシャーロックホームズだ。