【中古】 アウトサイダー(下) 文春文庫/スティーヴン・キング(著者),白石朗(訳者)
評価:3
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■ヒトコト感想
上巻で、殺人犯が2カ所に同時に存在するという不可思議な現象が発生し、それの調査を行うというヒリつくような展開となっていた。下巻ではあのホリーが大活躍する。この世の者ではない存在。そして、過去に同じような幼い少女の誘拐レイプ事件が発生したことがわかる。その犯人と思わしき人物も、実は2カ所に存在していた可能性がある。
犯罪現場には犯人のDNAが残されている。この決定的な証拠がある状態で、例え、はるか遠く離れた別の場所で映像として存在していることが判明したとしても、疑惑が晴れることはない。下巻ではこの世の者ではない存在をアウトサイダーと名付け、ホリーやラルフが追い詰めていく。「ミスター・メルセデス」から続く物語であることは間違いない。
■ストーリー
惨殺事件の罪を無実の男に着せた〈アウトサイダー〉。悪意に満ちた「それ」を倒すことはできるのか。ラリーが少年の遺族によって殺された。警察は捜査の終結を宣言するが、刑事ラルフは違和感を覚える。探偵の手も借り独自に再捜査をはじめたラルフ。過去の類似事件を辿る中で、他人の姿に変身し凶行に及ぶ〈アウトサイダー〉の存在が見えてきて……。恐怖の帝王が圧倒的緊迫感で不可能犯罪を描く。
■感想
テリーの妻のマーシーや弁護士のハウイーは上巻の段階では、ある意味警察組織側であるラルフたちと敵対関係にあった。それが、ホリーがこの世の者ではない存在を発見した際には、ラルフたちとの協力関係ができあがりつつある。
テリー犯人説を疑わない検察官のビルでさえも、現実的な落としどころを見つけられずにいる。。。決定的なのは、テリーと同じように凄惨な事件を起こした犯人が、実は同じ時間にはるか遠く離れた場所での強固なアリバイがあったという部分だ。
調査員たちが大活躍する。ハウイーの依頼を受けた調査員たちは、その能力をいかんなく発揮する。この世の者ではない存在をどのようにして逮捕起訴するのか。実際には新たにテリーのような犯人の替え玉の存在があり、それがテリーと同じように何の罪もないのに犯人に仕立て上げられようとしていた。
過去に発生した凄惨な洞窟崩落事故が大きく影響していく。この世の者ではない存在を待ち伏せし倒そうとする。なんだか後半からは急激にファンタジーあふれる展開となっている。
上巻での摩訶不思議な展開から、下巻で何かしらアリバイトリックなりの説明がされると思っていたのだが…。やはりミステリーというよりはホラーの要素が強い作家なので、論理的な解決編を求めるおは間違いだった。なぜ身代わりとする犯人と同じようなDNAを現場に残せるのかの説明はまったくない。
何かしら過去に接触があったからこそ、変身のようなことができるらしいのだが…。それですべての説明を終わらせるのは厳しい状況だ。
もし、自分がテリーの立場だったら、この不運を恨むしかない。