ミスター・メルセデス 上 (文春文庫) [ スティーヴン・キング ]
評価:3
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■ヒトコト感想
早朝、仕事を求める人々の列に暴走したメルセデスが突っ込み多数の死者を出した。暴走車の犯人は逃げ切る。退職刑事のホッジスが犯人を追いかける物語だ。犯人とホッジスのパートが交互に描かれている。犯人は狡猾であり常にホッジスを監視している。また別の大きな無差別犯罪を起こす可能性がある犯人。
ホッジスは犯行に使われたメルセデスの持ち主の妹に近づき、犯人の痕跡を探ろうとする。お互いが相手を意識しており、あおり合戦をしているような状態だ。犯人はホッジスにあおられ、ホッジスの予想通りに怒り狂い挑発にのってしまう。下巻ではエスカレートした犯人が何かしらホッジスの周りに攻撃を加える可能性がある。
■ストーリー
暗い霧雨の朝。仕事を求める人々の列に、何者かが駆る暴走車が突っ込んだ。多数の死傷者を残して車は走り去り、事件は未解決に終わった。そして今、退職刑事ホッジズのもとに犯人からの挑戦状が届く。「こいつをこの手で捕らえてやる」。決意したホッジズは、孤独な調査を開始する――。
■感想
無差別殺人を目的とし、人々が並ぶ列にメルセデスが突っ込む。犯人はまんまと逃げおおせてしまう。犯人を追うのは退職刑事のホッジスだ。犯人目線とホッジス目線で描かれる本作。ホッジスはひたすら犯人のヒントを探し出そうとする。
犯行に使われたメルセデスの持ち主が、キーを差しっぱなしにしていたということで世間にたたかれ、警察から事情聴取され極めつけは犯人からの手紙により自殺に追い込まれてしまう。ホッジスはより犯人への怒りを強くし、メルセデスの持ち主の妹から私立探偵としての動きを依頼される。
犯人はいかにもサイコパスな描写がされている。母親と二人暮らしでコンピュータやメカの設計に長けている。知能は高く、証拠を残さず犯罪を実行する能力がある。ホッジス対犯人の対決の様相が強い。ホッジスは犯人が自分を狙っていることに気づいており、あえて犯人を挑発している。
WEB上でのメッセージのやりとりで相手を挑発する。ホッジスは犯人が挑発にのり、ぼろを出すことを目指している。ここで犯人は直接ホッジスに手をだすのではなく、周りに何かをしようとするのがいかにもいやらしい展開だ。
犯人は様々な知識がある。コンピュータを扱う能力があり、それを利用して様々な仕掛けを行う。アイスクリーム販売を行いながら、スキをうかがうのがいかにも危険人物な雰囲気がある。ホッジスのすぐ近くに存在するかもしれない危険人物。
どこに犯人がひそんでいるかがわからない状態が恐ろしい。ホッジス自身も自分が犯人に観察されていることに気づいていない。ホッジスがベンツの持ち主の妹と親密な関係となり、付き合っていると知ると犯人は激怒する。
ホッジスの周りに危害を加えようとするのが恐ろしい。