オクターヴ / 田口ランディ
評価:2
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■ヒトコト感想
失踪した友人ミツコを追いかけバリ島へやってくるマホ。現地を案内してくれるオダやバリ独特の雰囲気が描かれている。スピリチュアルな雰囲気全開で作者のいつものパターンだ。ただ、自分の中ではこのスピリチュアルな物語は入り込むことができないので、楽しむことができなかった。
圧倒的なピアノの実力があり将来はプロになると思われたミツコが突然失踪した。マホが周辺を探すのだが、知り合いやミツコの親までもが、ミツコの存在自体がないものというか、ほとんど気にされてない状態となっている。ここでミステリアスな雰囲気が多少がるのだが、最終的に決定的な解決がされるわけではない。よくわからないまま、不思議な現象で終わっている。
■ストーリー
『知覚できないものの世界をガムランが開く』。バリを舞台にした傑作長編「7days in BALL」を大幅改稿。
■感想
スピリチュアルな物語だ。マホがミツコを追いかけてやってきたのはバリ島だった。そこで現地の案内人であるオダと出会い、マホは様々なスピリチュアル体験をする。序盤ではミツコとマホの出会いが語られている。
ミツコはピアノの天才であり、同じくピアノを弾くマホはミツコにコンプレックスがあった。ただ、マホ自身には音楽を批評する能力があった。皮肉なことだ。ピアノの才能はないが、他人の音楽を批評する才能はある。自分の才能を恨み、ミツコをうらやんでいたのがマホの序盤の人生だ。
ミツコが失踪しピアノを弾かなくなる。結局はピアノはひとつの要素でしかない。ミツコがすさまじいピアニストだということが、スピリチュアルな世界とは関係ない。あれほど才能にあふれていたミツコが、失踪したことをきっかけとして周りから忘れ去られる。
実の親でさえ、ミツコのことを気にしないのは異常だ。マホだけが、ミツコのことを気にして探そうとする。小出しにされるバリでのミツコの情報は、ミステリアス感が強いのだが、それだけなのかもしれない。
マホの不思議な体験が語られる後半。この体験の大元には何があるのか。結局のところスピリチュアルな体験の種明かしをされることはない。スピリチュアルな部分をそのまま受け入れることができる人ほど本作を楽しめるのだろう。
非科学的なことを受け入れる土壌があり、人間の脳は世界のネットワークでつながっているなんてことを理解できる人は好いのだろう。「コンセント」の衝撃をそのまま同じパターンで描かれると最初ほどの衝撃は受けない。
スピリチュアルで終わる物語だ。