まぐさ桶の犬 (文春文庫) [ 若竹七海 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
久しぶりの羽村晶シリーズ。作者自身の年齢というのか、羽村の年齢が50代に入ったということで、肉体的な衰えが顕著に描かれている。また、登場してくるキャラクターたちも年寄りや老人が多い。秘密厳守の人探しの依頼が、調査していく中で親族のもめごとや、ある学園の創業者一族の闇の部分などが見えてくる。
タイトルの「まぐさ桶の犬」というのが、まさに自分には不要だが、他人が使うのを妨げる者という、強烈に嫌な人物の説明となっている。それはまさに本作に登場してくる者たちのことだ。気に入らないので権益や資産、そして情報を抱え込み、周りに開示することはない。それが未来のない老人であれば、なおさら意固地になることもあるのだろう。
■ストーリー
葉村晶も五十代に突入し、老眼に悩まされるお年頃。魁皇学園の元理事長でミステリのエッセイストとしても名を馳せた乾巌、通称カンゲン先生に、<秘密厳守>で「稲本和子」という女性の行方を捜してほしいと頼まれた晶。彼女の一人娘は学園の理事だったが、本屋で万引きしたとして留置中に急死していた……。高級別荘地の<介護と学園地区構想>など、さまざまな思惑が絡み合い、やがて誰もが予想のしない結末へ!
■感想
相変わらずの嫌ミスだ。出てくる登場人物がこれでもかと嫌な行動をとる。それも年齢を経た上での頑固さも含まれている。介護や認知症。そして、それら人物をとりまく家族の話など、同じように高齢の家族を持つ者には、苦しくなる話ばかりかもしれない。
気持ちよく読める物語ではない。ミステリ専門店でアルバイトをしつつ、白熊探偵社のただひとりの調査員として働く羽村が、人探しの依頼を受ける。依頼者はある学園の元理事長である資産家だった。。。
その依頼の前から、羽村の災難具合が描かれている。近所の老人の世話を無理やり老人の親族から押し付けられる。また、この老人が偏屈であり、老人の親族もまた憎たらしい存在ばかりだ。葉村が普通に対応しているのが信じられないほど強烈なキャラクターばかりだ。
肝心の依頼である人探しも、依頼人の一族に渦巻く保身や名誉、そして古い怨嗟など。。。後半に怒涛の人間関係の種明かしがあるのだが、これもすさまじいインパクトがある。普通に兄弟と思っていたら、実は親子だったなど、隠し子があちこちに存在している。
後半では、葉村が調査の過程で命を狙われることになる。葉村の特徴ともいうべき古い緑の小型車(通称毒ガエル)が後ろから追突され、崖から車ごと落ちそうになる。そもそも50代の葉村の身体はボロボロなのにハードな調査を続けつつ、命まで狙われるとなると…。
オチはしっかりと描かれてはいるが、なんともすっきりしないオチだ。何の目的で謀略が行われたのか。利益度外視に、何か怨念のようなものを感じずにはいられない物語だ。
登場人物たちがすべて高齢者な部分が印象的だ。