クスノキの女神 [ 東野圭吾 ]
評価:2.5
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■ヒトコト感想
クスノキシリーズの第2弾。前作の「クスノキの番人」の玲斗が引き続き不思議なクスノキの木の番人として活動する。玲斗の叔母である千舟が認知症を患っており、記憶障害のある少年の元哉との関係がメインに語られている。クスノキの木がくりぬかれた中に入ると、祈念が行われ中の人の記憶がクスノキの内部にたまることになる。
そこから別の人がクスノキに入ると受念が行われ、クスノキの内部にたまった記憶がその人に送られることになる。強盗傷害事件が発生し、その犯人を捜す刑事たち。関係者と思われる人物がクスノキの内部に逃げ込んでいたことから、事件の真実が明らかとなる。記憶に障害をもつ少年や痴ほう症に悩む高齢者がクスノキの恩恵をどのように受けるかがポイントだ。
■ストーリー
神社に詩集を置かせてくれと頼んできた女子高生の佑紀奈には、玲斗だけが知る重大な秘密があった。一方、認知症カフェで玲斗が出会った記憶障害のある少年・元哉は、佑紀奈の詩集を見てインスピレーションを感じる。玲斗が二人を出会わせたところ瞬く間に意気投合し、思いがけないプランが立ち上がる。不思議な力を持つクスノキと、その番人の元を訪れる人々が織りなす物語。待望のシリーズ第二弾!
■感想
クスノキの神社を管理することになった玲斗。そこに久米田という男がやってきた。のちに久米田は強盗傷害犯として疑われていたとわかる。クスノキ神社には金に困った姉弟が次作の詩集を置かせてくれと頼みにきたりもする。
久米田がその詩集を無断で持っていこうとしたことを玲斗にとがめられ、顔見知りとなる。久米田がクスノキの内部に逃げ込んでいたことから、強盗傷害事件の真実をなんとなく知ることができた玲斗が各所と調整しながら事件を穏便に済まそうとする流れがある。
正直、事件は大したことはない。メインは元哉のエピソードだろう。脳の病気で夜寝るとその日に起きたことを全て忘れてしまう。となると、勉強をしても無意味で新しく知り合った人のことはすべて忘れてしまう。玲斗とスターウォーズのことで意気投合しても次の日には忘れてしまう。
元哉は独自の工夫で、日記をつけることで毎朝日記を読み直して不自然ではないように行動している。元哉の人生はすさまじい。何もやる気が起きなくなる可能性がある。今やっていることを明日にはすべて忘れてしまう。人生に絶望しかねない病気だ。
玲斗の叔母である千舟は痴ほう症により記憶があいまいになる時がある。千舟自身はそのことを自覚しており、手帳にこまめに記入しているのだが…。身近に老人性痴ほう症になりかけた人がいるのは強烈だ。千舟は気丈に自分の入る施設について調べて玲斗に相談するのだが…。
相談したこと自体を次のタイミングでは忘れていたりもする。人間が普通に生活する上で記憶というのはかなり重要な要素だということがわかる。ミステリーとしてはとりたてて特別なことはないが、記憶についてはいろいろと考えさせられる展開だ。
強烈なインパクトがあるのは間違いない。