墳墓記 


 2025.9.23      どう理解してよいのかわからない 【墳墓記】


                     
墳墓記 [ 高村薫 ]
評価:2
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■ヒトコト感想
高村薫の小説作品。正直よくわからないとうのが印象だ。主人公はどこか墓の中にでも入っているのだろうか。墓、もしくは棺桶の中で外の音を聞いている状態なのだろうか。外の時代が様々な時代に変化していき、そこから主人公な様々な思考を展開する。外から聞こえてくる情報から思考する中では、能や世阿弥についての知識がないと楽しめないかもしれない。

源氏物語や伊勢物語。そのあたりの古典についての知識があればさらに楽しめるのかもしれないが…。一度読むだけでは、まったくストーリーが理解できなかった。ただ、文字ずらを追っているだけで、頭の中では理解できないまま読み進めているという感じかもしれない。

■ストーリー
老いて死に瀕した一人の男が、意識の塊と化して長い仮死の夢を見る。そこに沸き立つのは高らかな万葉びとの声、野辺送りの声、笑い転げる兎や蛙の声、源氏の男君女君の声、都を駆けるつわものたちの声、定家ら歌詠みたちの声、そして名もなき女たちの声――。古文と現代文の自在な往還を試みた独創的文体、渾身の長篇小説。

■感想
仮死の状態での記憶なのだろうか。まさに棺桶に入っている男が、外で何事か騒いでいるのを聞いているという感じかもしれない。万葉集や古今和歌集。古典の知識がなければ外で騒いでいることが何のことなのかわからないだろう。源氏物語や伊勢物語についての考察もある。

それを語られても、結局は仮死状態にある人物の想像の中での出来事でしかないので、ストーリー上の繋がりはない。人の思考が飛ぶことについては理由がないので、どこに飛んだところで、そこに整合性はない。

外では能について語られたり、世阿弥についての話も登場してくる。この分野についてはまったくといっていいほど知識がなかったので意味がわからなかった。このパートに限らずなのだが…。何か娘の話が登場してきたりはしたのだが、それがどのような意味があるのか。

仮死状態にある人物が何歳でどのような人生をたどってきたのかも、よくわからない状態で物語はすすんでいる。もしかしたら、何かの比喩のような形で表現されていたのかもしれないが…。

物語としては最後まで読むことができたが、まったく意味がわからなかった。ストーリーを説明せよと言われてもできない。何が面白いのかの説明もできない。合間には古典の文章が続いていくのも、読みづらい要因の一つだろう。

タイトルから想像するのは、古墳やお墓なので、間違いなく死を連想してしまった。死が間近に迫った人物の思考を読まされたとしても、どう理解してよいのかわからない。エキセントリックな複雑さなどではない。純粋に書いてあることの意味がわからなかった。

この作品を理解するのは相当に難しい。



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