永遠者 / 辻仁成 / 文藝春秋 [文庫]
評価:3
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■ヒトコト感想
永遠の命を手に入れた男の物語。若き外交官のコウヤがフランスで踊り子のカミーユと出会う。実はカミーユは永遠の命をもっていた。カミーユとの儀式を行うことでコウヤも永遠の命を手に入れるのだが…。この手の永遠の命を手に入れる物語の定番として、愛する者や子供は歳をとっていくのだが、自分だけはいつまでも若々しいままという流れがある。
映画の「アデライン、100年目の恋」でも描かれていた部分なのだが…。コウヤも同じく愛する妻が次第に老いていく様や、自分の娘が自分よりも老いていく部分が描かれている。結論としては結局のところ、自分だけが老いないことに対しての絶望感が強くなり、死を渇望することになる。定番的な流れだ。
■ストーリー
本書の幕開けは1899年末、万国博覧会開催を目前にしたパリ。若き日本人外交官のコウヤは、ダンスホールで美しい踊り子カミーユと出会い、たちまち恋に落ちる。心も体もカミーユに囚われ、時間を忘れてだがいを貪り合う日々。「結婚をしたい」というコウヤに、「〈儀式〉を通過すれば貴方は永遠に私を愛することができるのよ」と、カミーユは囁く。新しい世紀の幕開けと共に、二人の果てのない愛の彷徨が始まる――著者が全身全霊を込めて書き上げた衝撃作。
■感想
永遠の命を手に入れることは、決して幸せなわけではない。戦時中に外交官として働いていたコウヤがフランスでカミーユと出会い、カミーユに魅了されていく。若いコウヤが若いカミーユに惹かれるのは当然のことで、そこでコウヤはカミーユに溺れ、カミーユの誘導により永遠の命を手に入れることになる。
永遠に若い状態で日々を過ごす。カミーユと別れた後に、コウヤはいいなずけと再会し結婚することになるのだが…。不幸になることが目に見えている。
決して老いないコウヤと普通に老いていくコウヤの嫁。そして、娘が生まれるのだが…。コウヤは若々しいまま、娘は成長していく。永遠の命を手に入れた者の悲しい末路が見え隠れしている。愛した人は次第に歳をとっていくのだが、自分だけは若々しいまま。
それは政府の研究機関からマークされる存在であり、研究対象ともなりうる。ただ、コウヤを追い続けた研究者にも時間は有限なので、研究者が老いるとコウヤのことを覚えている者はいなくなる。。。とんでもない世界だ。
永遠の命の扱い方の先輩としてカミーユは、自分の楽しみ方を見つけている。資産家と結婚し、世界を牛耳ることに心血を注ぐ。永遠の命をもつカミーユにとっては、それすらもゲームでしかない。原子力発電を手に入れ、世界のエネルギーを手中におさめようとする。
コウヤが最後に永遠の命を終わらせる方向へと気持ちが傾いていくのは当然だろう。何かを終わらせるためには、強靭な決断力が必要だ。そして、すべての元凶であるカミーユをコウヤは殺そうとする。。
永遠の命を手に入れた者の行きつく先はいつも同じだ。