アジフライの正しい食べ方 [ 浅田次郎 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
浅田次郎のエッセイ集。もともとは旅エッセイという体であったが、時期的にコロナ渦の時期であったためにまったく旅にはでていないらしい。このあたりもエッセイのネタになっている。また、作者が70歳後半になっていることに驚いた。確か最初に読み始めたころの作者は五十代だったので、それだけ長い期間読み続けているとうことだ。
作者も年齢的なものを感じているようだ。ハゲでデブで心臓疾患もちというコロナが大好物のような体をしている作者。エッセイの中ではまさに死にかけたような状態となり長期入院したことのエッセイもある。旅で面白可笑しい出来事をエッセイにするというよりは、旅に出れないことについての愚痴や健康についてのエッセイがほとんどだ。
■ストーリー
旅と食と笑いの人気エッセイシリーズ最新刊大物作家が遭遇した海外、国内での抱腹絶倒の出来事から身辺に起こるドラマチックな出来事を絶妙の筆致で描く。ソースなのか醤油なのかタルタルなのかそれとも……。表題作の『アジフライの正しい食べ方』など読み応えたっぷりの全40篇。旅先の出来事は悲喜こもごも、あらまし宝石に変わる
■感想
印象的なのは表題作でもある「アジフライの正しい食べ方」だ。人によってはアジフライに醤油をかけたりソースをかけたりタルタルソースをかけたりするらしい。意識していないが確かに海鮮系の揚げ物にはタルタルソースが合うのかもしれない。
エビフライやカキフライなどのように。。。究極に揚げ物が好きな人は、何もつけづに食べるらしい。確かにソースをつけるとソースの味が強くなるのは間違いない。何気なく食べてはいるが、改めて考えると割とうまい具合に判別しながら揚げ物を食べているのだろう。
「サウナの考察」は興味深い。サウナ歴がかなり長く、まだ日本でサウナが当たり前ではない時期からサウナに通っていたようだ。今の料金で換算すると1万程度の料金を払ってサウナに入る。サウナの効能としても肌がつやつやになるということを語っている。
そして、明確に宣言しているのはサウナでは痩せないということだ。それは確かにそうだろう。心臓病を患っている人は、サウナに入るのは危ないような気もするのだが…。サウナブームよりもはるかに前からサウナの魅力に気づいていたのはすばらしい。
「クスリのリスク」は強烈だ。50代だったころの作者は医者知らずの健康体だったらしい。それが70後半ともなると大量のクスリが日々必要らしい。これはしょうがないことなのだろう。コロナ渦でありながらコロナ由来ではない肺炎で長期入院する。
高齢者となると肺炎で死ぬなんてのは普通にあることなので、作者もギリギリ命をつないだのだろう。自分のことを団塊の世代の少し後に生まれた幸せな世代と語る。確かに何かにつれて恵まれている世代なのだろう。ただ、70後半となると…。
いつまでも長くエッセイは続けてほしいものだ。