六月のぶりぶりぎっちょう 


 2025.7.16      本能寺の変が現代のミステリーに 【六月のぶりぶりぎっちょう】


                     
六月のぶりぶりぎっちょう [ 万城目学 ]
評価:2
万城目学おすすめランキング
■ヒトコト感想
万城目学の意味のわからない物語だ。織田信長が殺された本能寺の変を現代のミステリーとして描いているということなのだろうか。現代の世界と、本能寺の変を模倣した殺害事件のどちらの世界も行き来できる女が謎を解き明かす。。「六月のぶりぶりぎっちょう」はまさに意味不明の物語となっている。もうひとつの「三月の局騒ぎ」の方がシンプルで面白かった。

女子寮のお局様を描いた物語なのだが、そのお局様の存在がミステリアスなのが良い。そして、様々な大学の女学生だけが入ることができる女子寮の特殊な風習や名づけの習慣などもよい。京都の不思議が詰まった中編であることは間違いない。ただ、あまりにファンタジーすぎるとついていけないというのはある。

■ストーリー
その死体は信長――密室殺人事件に巻き込まれた私は、うっかり本能寺の変の謎に挑んでしまう……。洛中女子寮ライフ――14回生以上との噂のある、女子寮の“お局様”の正体は!?京都の摩訶不思議を詰め込んだ「静」と「動」の2篇

■感想
「三月の局騒ぎ」は良い。様々な大学の女子学生が入寮している女子寮には伝説のお局様がいた。14回生以上という噂もある。お局様の正体は何なのか。京都の不思議な女子寮の世界が描かれている。個人名を呼ぶのではなく部屋や棟の名前で呼ぶなど特殊な状況ではある。

厳しい門限がありながらも、同室の学生との交流もある。最大にいられる期間を超えていても、なおこの女子寮に昔から住んでいるのではないかと言われていた先輩の存在。主人公が小説を書いていることと相まって、不思議な雰囲気となっている。

「六月のぶりぶりぎっちょう」は正直意味不明だ。不思議具合ではシリーズと思われる「八月の御所グラウンド」を超えている。現代人が気軽に本能寺の変について会話していると、あるタイミングで謎のミステリー殺人事件の現場へとうつる。

本能寺の変を現代版に模倣した殺人ミステリーということなのだろう。殺されたのは織田信長で、犯人は明智光秀。その明智を殺したのはいったい誰なのか。ミステリー的な流れがあるのだが、それはほとんどおまけでしかない。メインは別のところにある。

現代人が織田信長と会話をする。ミステリー殺人の流れの中で、信長に真相を聞く。なんだかよくわからない。本能寺の変の驚きの真相が明らかに!というわけではない。歴史好きな現代人が本能寺の変を模倣したミステリーということに気づき、周辺の人物が誰なのかを推理するのが面白い。

羽柴秀吉や徳川家康、森蘭丸が三つの木だから三木というのも面白い。歴史好きの人は読んでいて楽しくなるのかもしれない。ファンタジーあふれる展開についていけるのかがポイントだ。

すべての月を描くつもりなのだろうか。。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
*yahoo.co.jp