私の夢は 


 2023.5.24      ゆったりとした海外旅行エッセイ 【私の夢は】

                     
私の夢は (幻冬舎文庫) [ 小川糸 ]
評価:2.5
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■ヒトコト感想
小川糸のエッセイ集。日常というよりは海外への旅行のエッセイという感じだ。「食堂かたつむり」が大ヒットした作家なだけに、翻訳版が作られると取材などで現地へ行くことがあるらしい。それ以外にもカナダのバンクーバーに長期滞在し仕事をする日常が描かれたりもする。モンゴルで遊牧民と過ごしたり。非日常だが、そこには作者独特の語り口というか落ち着いた雰囲気が漂ってくる。

他エッセイですでにおなじみの旦那さんのことを「ぺんぎん」と呼ぶなど、夫婦で仲睦まじい雰囲気を感じとることができる。旅先での食事がメインのエッセイではあるが、日常の何気ない喜びなども描かれている。作者の人となりがよくわかるエッセイかもしれない。

■ストーリー
カナダのカフェで食べたふわふわのワッフル。モンゴルの青空の下、遊牧民と調理した羊のドラム缶蒸し。旅の最終日にバーテンダーが作ってくれたコーヒー味のオリジナルカクテル。石垣島での真夜中の潮干狩りや、ベスト・オブ・クラムチャウダーを決めるべく決行した飲み歩き。旅先で出会った忘れられない味と人々。美味しい旅の記録満載のエッセイ。

■感想
「ペンギンと暮らす」で登場した旦那さんと共にバンクーバーでの生活がメインとなるエッセイ集。食事に関する小説を書いている作者だけに、バンクーバーでの食事事情についても描かれている。海外へ長期滞在したとしても、観光を詰め込むようなことはしない。

何気ない日常をカナダで過ごすだけ、というような感じだ。日本にいる日常と変わらないが、それでもカナダ独自の風習や食べ物などがある。ペンギンとの生活の中で、ペンギンが周りの人に挨拶をしまくるというのもかなり衝撃的な行動だ。

作者はモンゴルでも生活している。バンクーバーが至れり尽くせりの都会であるのに比べ、モンゴルは遊牧民との生活となる。このギャップがあるが、作者はどちらも良いと言う。ただ、モンゴルに長期間暮らすことができるのだろうか?

便利な生活を捨て一時的に青空の下で暮らすのはよいのだが…。旅先で出会った人々との感動は確かに伝わってくる。このエッセイを読むとモンゴルよりはバンクーバーで暮らしたいと感じた。差別なく福祉や公共関係の支援が行き届いている。とても暮らしやすい都市に感じた。

日常のエッセイなので、日々のイベントも描かれている。作者の新作に対するエッセイがあり、その作品を読みたくなってくる。さらにはデビュー作である「食堂かたつむり」が海外でも出版されるので、そのイベントでイタリアに行ったりもする。

自分の作品が外国語で翻訳されるというのはどのような気分なのだろうか。作者のファンならば間違いなく楽しめるだろう。作者の小説からにじみ出る雰囲気そのままの日常を過ごしているので、安心して楽しめるエッセイ集だ。

作者のファンならば読んでおくべき作品だろう。



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