2023.9.28 12年前の事件を回想 【我らが少女A】
我らが少女A [ 高村薫 ]
評価:2.5
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■ヒトコト感想
合田シリーズ。12年前の未解決事件の捜査が再燃する。元中学美術教師が殺害された事件の関係者と思わしき少女が12年後に殺害された。痴話げんかの末の殺害であるが、少女が過去の事件に関係していたのでは?という思いが強くなる。合田は当時事件を解決できなかったことが常に心の残りとなり、警察大学の教師となってからも引きづっていた。当時高校生だった者たちが、過去を回想しつつ、事件の詳細が紐とかれる。
ミステリアスな展開となり、トリックなりその当時の心情なりの解明がされることを期待したのだが…。ただの思い出を回想するだけの物語となっている。結局、少女Aがどのように事件に関与したいたかは全く解明されないまま終わっている。
■ストーリー
一人の少女がいた――合田、痛恨の未解決事件12年前、クリスマスの早朝。東京郊外の野川公園で写生中の元中学美術教師が殺害された。犯人はいまだ逮捕されず、当時の捜査責任者合田の胸に、後悔と未練がくすぶり続ける。「俺は一体どこで、何を見落としたのか」そこへ、思いも寄らない新証言が――動き出す時間が世界の姿を変えていく人々の記憶の片々が織りなす物語の結晶
■感想
少女が殺された。12年前の事件の関係者と思わしき少女が殺されたことで、12年前の事件の捜査が再燃する。そもそも少女が殺害された事件と12年前の事件は関係ない。簡単に言ってしまえば、12年前に捜査でやり残したことを今やっているという感じだ。
当時、もし今と同じレベルの捜査や証拠を集めることができていれば、事件は解決していたかもしれない。合田は自分がやり残したことに後悔があり、現在の関係者とのつながりを保ったまま捜査の進言を行う。明確なミステリーとしての流れがあるわけではない。
過去の事件の関係者としてADHAの少年が登場してくる。過去には事件の容疑者として事情聴取された少年。結局は逮捕には至らず無関係と判明した。この少年は成長し自分の病気のせいで社会人生活が送りづらい中でも普通に生活している。
再び合田と会うことで過去の事件を思い出す。このADHAの少年のパートがすさまじい。頭の中が混乱しているというか、ひとつのことに集中できず、すぐにゲームのキャラクターの話になったりもする。父親から勘当されたりと、波乱万丈な人生を送っていることは確かだ。
ADHAの少年が過去に撮りためた携帯の写真が有力な情報となる。過去の事件が解決に近づいたところで物語は終わっている。12年前の未解決事件による影響で関係者たちはどうなっていったのか。いまさら12年前の事件を蒸し返されたところで…。結局、真犯人が捕まるわけではない。
ミステリー的な面白さは少なく、関係者それぞれの思いが詳細に語らている。最後に大どんでん返しを期待したのだが、まったくそんな展開にはならない。このラストはどうなのだろうか。
ミステリアスな部分は皆無だ。
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