うまたん ウマ探偵ルイスの大穴推理 


 2023.2.5      ウマが探偵役をする異色なミステリー 【うまたん ウマ探偵ルイスの大穴推理】

                     
うまたん ウマ探偵ルイスの大穴推理 [ 東川篤哉 ]
評価:2.5
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■ヒトコト感想
東川篤哉の新探偵シリーズ。これまで「野球が好きすぎて」など、趣味を全面に押し出した探偵シリーズがあった。本作はそのパターンだろう。恐らくは作者は競馬好きなのだろう。今回は元競走馬のルイスが探偵役となる。馬の言葉がなぜかわかるようになった女子高生とコテコテの関西弁を話す馬との物語だ。基本は競馬関連のミステリーとなっている。

陰惨な殺人が起きるだとかシリアスな展開ではなく、明るくライトな事件がメインだ。馬の言葉がわかることのメリットよりも、馬のルイスの特徴を活かした?推理というのがポイントなのかもしれない。日常にあるちょっとしたトラブルを女子高生と元競走馬が軽妙なやりとりをしながら解決する異色なミステリーだ。

■ストーリー
名探偵は……コテコテの関西弁を喋る馬!?殺人、窃盗、金銭トラブル――小さな田舎町で起こる不可解な事件に、元競走馬と牧場の娘のコンビが挑む!

■感想
「馬も歩けば馬券に当たる」は、知り合いの藤川が金に困ってアルバイトを始めた。その理由は百万もの借金があるからだというが…。借主は7千円の借金だという。なぜ?貸主と借主で金額が違うのか。それも貸している方が金額が低いと…。

このあたり、競馬をやる人であればすぐに気づくだろう。物語の前に、大穴馬券が当たったというニュースが流れており、その流れであるのは想像できる。実は本作はこれで終わりではない。この百万という金額が、ラストの短編にも関わってくる。

「タテガミはおウマの命」は、女子高生の殺人事件が起きる。現場に残された馬のタテガミから馬を面倒見ている男が容疑者となるのだが…。競走馬のタテガミはファンにはたまらないものだろう。実際に競走馬のタテガミが切られる事件が起きたらしい。

それをモチーフとし、ガムテープにべったりと付いたタテガミが犯人のヒントとなる。殺人事件ではあるが、刑事含め非常にライトな雰囲気となっている。そもそもが女子高生と競走馬が殺人現場にフラフラと現れるのが異常すぎるのだが…。

ラストの短編は、泥棒をルイスたちが捕まえるのだが、犯人は何も盗んでいなかった。実はその場で出くわした男がグルで、男にこっそりと手渡していた。盗品は高級時計なのだが、盗まれた藤川は何も盗まれていないと証言する。ここで藤川が再登場してくる。

貧乏労働者なので、時計は安いデジタル時計しかもっていない。犯人は盗んでおり、盗まれた側は何も盗まれていないというおかしな状態となっている。これは「馬を歩けば馬券に当たる」に関連してくる。

新シリーズのスタートだ。



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