野球が好きすぎて 


 2022.9.14      プロ野球ファン以外をおいてけぼりにする流れ 【野球が好きすぎて】

                     
野球が好きすぎて [ 東川篤哉 ]
評価:2
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■ヒトコト感想
作者が野球好きなのがまるわかりな作品だ。各年に起きた野球での事件をテーマとしたミステリー短編となっている。謎のカープ女子が事件を解決するのだが…。刑事はスワローズファンで関係者は阪神ファンや各球団のファンたちとなっている。実際のプロ野球での出来事をテーマとしているので、野球ファンならば楽しめるだろう。ある程度マニアックなネタも多数組み込まれているので、プロ野球を知らない人にとってはまったく面白さがわからないだろう。

広島が強い時代。阿部慎之助が2000本安打を達成など、一般人はほとんど意識しない出来事を謎としている。特にDNAのパットンがベンチの冷蔵庫を殴打し骨折したなど、プロ野球ファンでも微妙なネタをテーマとしている。

■ストーリー
アリバイは阪神vs.広島戦!?捜査一課刑事の神宮寺つばめと謎のカープ女子が、野球ファンが起こす珍事件を名推理。事件の鍵を握るのは、野球界の実際の出来事!?2016年――広島カープ25年ぶり悲願のリーグ優勝2017年――巨人・阿部慎之助、2000本安打達成2018年――球史に残る“大荒れ"の阪神対広島戦2019年――DeNAのパットン投手、冷蔵庫を殴打して骨折2020年――コロナ禍で異例ずくめのリーグ戦

■感想
野球ファンであれば十分楽しめるだろう。ただ、相変わらずだが、作者の作品はミステリーのトリック部分がライトだ。これが売りなのかもしれないが、カープ女子が野球をテーマとした謎を解く。その前にスワローズファンの父娘の刑事コンビがゴタゴタを起こす。

謎のバー。通称ホームランバーでカープ女子が推理する。このカープ女子も、その時々で名前を変えている。鈴木誠也が「神ってる」とお立ち台で言っていたからと神照子なんていう名前を名乗ったり。野球ファン以外を置いてけぼりにする流れだ。

2000本安打を2000安打と言うのかどうか、なんてのは野球ファンですら意識しないことだ。確かにこう字ヅラだけ見ると、なぜ「本」が付くのか?という疑問をあらためて感じてしまう。細かなうんちくがあり、野球ファンが楽しめる小ネタが盛りだくさんではあるが…。

本作を読むのは野球ファン前提ということなのだろう。DeNAのパットンが冷蔵庫を殴打し骨折したというのは、そこまで有名なのか?自分的には巨人の杉内が怒りで壁を殴って骨折の方が有名なのだが…。

その年に起こった野球の事件をテーマとしている。2020年ではコロナ騒ぎまでもネタにしている。野球という縛りがある中でどこまでミステリーに近づけることができるのか。連載当初はカープが強く、連覇をしていたころでカープ女子が話題となっていたのもあるのだろう。

それが、最終的には連覇は潰え、菊池、丸、田中などの主力をもじった名前にしたりもしたが…。丸が巨人へ移籍したり。時代の流れ的にカープ女子は違和感がある状態になってしまっている。

プロ野球の時事ネタというのは辛いだろう。数年後にはさらに辛いことになっているはずだ。



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