2023.2.10 中世ヨーロッパの高級貴族の子息のような 【トーマの心臓】
トーマの心臓 Lost heart for Thoma (講談社文庫) [ 森博嗣 ]
評価:2.5
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■ヒトコト感想
どやらマンガ原作らしい。元ネタであるマンガは読んだことはないのだが、挿絵で登場してくる絵柄はどこかで見たことがある。恐らくは昔の有名マンガ家なのだろう。ヨーロッパ貴族の子供たちの世界。絵があれば、より世界に入り込めるのかもしれない。周りからトーマと呼ばれている美しい学生が死んだ。トーマと生き写しの転校生エーリクが現れ、事態は混とんとしてくる。
ユーリやオスカーなど、多数の者たちとの交流がある。物語のトーンとしてはミステリアスな部分がある。なぜ、エーリクはトーマとそっくりな容姿をしているのか。親友であるユーリはどのような思いでトーマの死をうけとめたのか。ラストで大きなトリックがあるわけではない。
■ストーリー
トーマと呼ばれた美しい下級生から、ユーリに届いた1通の手紙。それは、彼からの遺書だった――。そこへトーマに生き写しの転校生・エーリクが現れ、オスカーは、遺された想いに縛られた親友・ユーリを憂慮する。揺れ動く心を捉える生と死、そして愛……。
■感想
どこか、中世ヨーロッパの高級貴族の子息のような雰囲気がある。上品で位の高い、将来は地位の高い職業につくような選ばれた子供たち。そんなこどもたちが生活する学園で事件が起こる。マンガ原作をベースとした本作。
マンガがどのような絵柄で表現されているのか不明だが、インパクトがあるのは間違いない。確か作者のエッセイを読んだところ、このあたりの作家のマンガを小説化できることは光栄だ、というような言葉を話していたのを覚えている。絵柄的にも昔のマンガの絵のような雰囲気がある。
学生たちの物語なので、メインは人間関係にある。トーマという美しい下級生が死んだ。トーマと親友であったユーリは転校生のエーリクの姿を見て衝撃を受ける。学生の内部での人間関係。誰が誰と仲が良く、コミュニティが作り上げられてきたのか。
そんな中で、エーリクが転校してきたことで、学生たちの人間関係にひずみがでてくる。それまで平和な学園内で、様々な出来事が起きる。トーマとエーリクには何か関係があるのか。マンガであれば絵でそれらを楽しむことができるのだが…。
ストーリー的に特別な要素があるわけではない。ミステリアスな展開ではあるが、大きなトリックがあるわけでもない。学生たちの人間関係の中で、どのような変化がおとずれるのか。エーリクが転校してきたことで大きな化学反応を起こすことになる。
マンガをノベライズ化するのはいくつかある。マンガの内容をそのまま小説家するのはめずらしいだろう。「ジョジョ」のように、漫画の外伝的なエピソードを小説として表現するパターンはよくあるのだが…。
マンガファンがどう感じるのか気になるところだ。
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