魂の歌が聞こえるか [ 真保裕一 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
レコード会社の苦悩を描いた作品。マンネリ化したベテランアーティストの担当をしつつ、新人を発掘する。レコード会社は利益を得るために動くので、アーティストとの関係を重要視しつつも、最後にはドライな決断をする。本作のメインは正体を隠してデビューしたいと希望してきた新人バンドだ。
メンバーのひとりに過去に傷害事件を起こした者がおり、保護観察にまでなっていた。少年犯罪なので名前は公になってはいないが、当時の関係者はみな知っている事実だった。確かに話題の新人バンドのメンバーの中で、過去に犯罪を犯したものがいたら大騒ぎになるだろう。アニメの主題歌にまでなりデビューから期待されてきた新人バンドをどのようにして救うのか。レコード会社のリアルがここにある。
■ストーリー
「素晴らしい歌を世に送り出せ!」新人バンドのデビューに奔走するレコード会社。契約を勝ち取り、狙うはアニメの主題歌。次々と難題がふりかかり、予想外の事態に。え……? 彼らは何かを隠してる!迫真の音楽業界ミステリ
■感想
序盤は落ち目になりつつあるベテランアーテイストのレコーディングからスタートする。レコード会社としてはスケジュール通りにCDを発売してツアーを実行したいのだが、アーティストとしては納得できる作品を作ろうとする。
ここで、レコード会社としては様々な譲歩をするのだが…。衝撃なのは出来上がった作品が別のアーティストの作品とそっくりな場合だ。今の時代、AIで似たような曲調の作品を検索することができる。意図的な盗作ではないとしても、アーティストとしての賞味期限が切れた可能性がある。
新人バンドのデビューに奔走する部分は最高だ。まだ見ぬ原石を見つけ出した興奮。まだ世に出ていない才能を発掘し、デビューさせるまでの高揚感はすさまじい。さらにはその才能がデビュー前から認められ、アニメの主題歌に採用されたりすると、もはやヒットが確定するような感じだ。
様々な関係者が関わってくる中で、専属の担当者はひたすらバンドメンバーとコミュニケーションをとるのだが…。正体を隠してデビューしたいという要求に何かがある感じはした。
新人バンドのメンバーが過去に事件を起こしていた。そのことを週刊誌にすっぱ抜かれてしまう。サポートメンバーだとはいえ、傷害事件を起こしていたとなると、世間の風当たりは強くなる。実際にこの手の話はよくあることなのかもしれない。
レコード会社は余計なリスクを排除するために、その問題のメンバーをバンドから外してデビューさせるのが筋なのだが…。バンドメンバーの絆が強い場合は、デビュー自体がダメになる可能性すらある。
レコード会社の強烈なインパクトはすさまじい。