死の舞踏 恐怖についての10章 /筑摩書房/スティーヴン・キング
評価:2
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■ヒトコト感想
スティーヴンキングがホラー作品について語る。映画やテレビドラマのホラーについてどのよう思いでいるのか。文庫サイズではあるが、700ページを超える分量となっている。古今東西のホラー、特に昔のホラー作品について熱く語る。どんなホラー作品がすぐれており、何がくだらないホラーなのか。作者が感じることをありのままに語っている。
「ヴレアウィッチプロジェクト」の評価が異様に高い。ホラーでの恐怖のポイントやダメなホラー作品の例など。かなり昔のホラー作品に対する批評がメインなので、自分が知らないホラー作品名が多数登場してきた。昔からのホラーマニアならば問題ないのだろうが、最近のホラー作品しか知らない人にとってはつらいだろう。
■ストーリー
文学作品は言わずもがな、映画・テレビドラマなど古今東西の作品が引用されている。古今東西のホラー作品を圧倒的な熱量で語り尽くす〈恐怖のバイブル〉。35ページに及ぶ「2010年版へのまえがき」(未訳)を付き
■感想
スティーブンキング自身、自分の作品が多数映像化されているので、そのことについても語っている。作者が多数のホラー映画やドラマを見た際に感じたことがつづられている。かなり長大なエッセイとなっているのと、作者独自の比喩というかコメントの特殊な流れがあるのが印象的だ。
一般的に名作として有名な作品については作者も同じ考えらしい。「エイリアン」などはべた褒めされている。かと思うと、ボロクソに酷評している作品もある。ただ、その酷評した作品について自分がほとんど知らなかったのであまり印象に残っていない。
自分の小説作品が映像化されることについても語っている。映像化についてはこだわりはないようで、あれこれうるさくは言わないのだろう。「ドクター・スリープ」などはうまく映像化されていると思うが、作者はどのような印象をもったのだろうか。
多数の作品を発表している中で、結構な割合で映像化されている。売れっ子ホラー作家としては、映像化されることは喜ばしいことなのだろう。どのようなモチベーションになっているのかわからないのだが…。
かなりの熱量だ。ホラー作品をどれだけ読んでいるのかわからないが、かなりの分量を読んだり見たりしているのだろう。ホラーマニアが喜ぶような古典的作品に対してのうんちくあり、新しい作品に対してのコメントあり。
イメージとしては「ブレアウィッチプロジェクト」のようなリアル感を出すホラーについては否定的で、「13日の金曜日」的なわかりやすいホラーを喜ぶのかと思ったがそうではないようだ。恐怖の元凶が姿を見せない状態であり、観衆の想像力で恐怖感を増幅させるタイプのホラーが好みのようだ。
作者のファンでなければ最後まで読むのはつらいだろう。