新・餓狼伝 巻ノ五 


 2023.1.7      マカコは強者レースから脱落した 【新・餓狼伝 巻ノ五】

                     
新・餓狼伝 巻ノ五 魔拳降臨編 (フタバノベルス) [ 夢枕獏 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
前回は強者同士の戦いで決着がつき、ある程度序列ができていた。本作では新たな強者が登場し、また強いと思われた者が負けていく。これからはより強者をはっきりさせるため、明確な決着をつけていくのだろう。立脇如水が深く掘り下げられ、マンモス平田や京野京介なども強さを示している。特に衝撃的だったのは、葵文吾が立脇に負け、梅川が新たな強者であり不気味な存在である翁九心にやられてしまう部分だ。

もはや主人公の丹波文七はおいてけぼりを食らったような形だ。作中では明らかに別格な描かれ方をする者たちがいる。そこに新たに誰かが加わるのか。負けたことがないのが第一条件だろう。マカコが負けたことにより最終的な強者の座は絞られた感じだ。

■ストーリー
誰にも負けたことがなかった少年、立脇如水。大関・大破山を父に持ち、生まれながらに強かった。立脇はなぜ北辰館の門を叩くことになったのか? なぜ父を殺した葵文吾と闘っているのか? カイザー武藤、マンモス平田、姫川勉、京野京介――万博コロセウムで繰り広げられる死闘の果てに、漢たちの真実が見えてくる。この大会にあたって「闘人市場」を主催する道田薫は、松尾象山と巽真に「翁九心と闘りたくないかね」と話を持ちかけていた。そんな中、次の試合で丹波文七と闘う予定だった梅川丈次の前に、翁九心が現れた。いったい、何のために――?

■感想
立脇如水がその生い立ちから細かく掘り下げられている。ただ、立脇にしても一度負けたことがあるので、そこまで強者の扱いではない。葵文吾との激しい戦いに勝利するのだが…。こうなると葵文吾のランクが下がることになる。

同じく文吾と互角と思われた梅川が翁九心に負けてしまう。となると、もうこのふたりには商品価値がなくなったということなのだろう。新たな登場人物の強さの物差しになる程度の役割しかないのかもしれない。負けても価値が下がらないのは主人公である文七のみだろう。

姫川は相変わらず別格な強さを見せている。負けたことがないのは絶対的な強者の条件のひとつだ。マカコが負け、姫川の父親が負ける。となると、もはや姫川と磯村くらいしか最終的な強者の存在にはなりえない。京野が磯村の指示のもと、圧倒的な強さを見せ始めている。

それまで初登場時点ではかなりの強者と思われた者たちをあっさりと数十秒で倒している。ここまでの強者感を出していたとしても、磯村の弟子の感じが強いので絶対的な強者とはなりえないだろう。

翁九心はどのような扱いなのか。60代ではあるが梅川を大怪我させ文七との闘いを棄権させた男。どちらかと言えば20代の若い強さよりは経験と老獪さでの強さの方が目立つ本作。圧倒的な耐久性を持つということでマンモス平田が登場し、壊し屋として翁九心が登場してくる。

恐らくだが、マンモス平田がどれだけ耐えきれるかがポイントなのだろう。姫川勉がレジェンド扱いになると、今後は文七が覚醒し姫川勉を倒して終わり、という形がスマートなのだろう。

磯村は別格扱いなので、絶対に負けることはないだろう。



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