新・餓狼伝 巻ノ4 


 2019.5.27      強者同士の夢の対決に決着がつく 【新・餓狼伝 巻ノ4】

                     
新・餓狼伝 巻ノ4/夢枕獏
評価:3.5
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■ヒトコト感想
餓狼伝としての面白さが凝縮されている。過去にも強者たちの夢の戦いがあったが、今回もまたさらにパワーアップしている。なんといっても姫川勉の父親であり菊式の使い手である姫川源三が、磯村露風と対決し決着をつけている。今までであれば、強者同士の対決では決着をつけずに痛み分けというのがよくあった。

今回はしっかりと勝ち負けがついている。当然ながら、ふたりの強さを引き立たせる演出は行われており、隅田が源三に一蹴され、あの強者であるマカコが菊式を追い求めるなど、まさに源三の強さが強烈にアピールされている。磯村については、これまで数々のエピソードがあり、とても負けるような人物には思えない。そんな二人の対決にはワクワクせずにはいられない。

■ストーリー
寝技研究会を主宰する隅田元丸のもとを姫川源三――北辰館・姫川勉の父が訪れた。「無寸雷神」なる技を用いる源三は、隅田と闘いを繰り広げる。天皇家の人々を護ることに由来する「菊式」の使い手でもあった源三が次に挑むのは「闘人市場」、闇で執り行われる賭け試合だ。菊式の秘密をめぐり、闘う漢

■感想
あの強者マカコが追い求めた秘術菊式。とんでもない技かと思いきや毒だという流れとなる。そして、とうとうその菊式を使う人物が登場する。あの姫川勉の父親である源三だ。ただのおやじであるはずの源三が寝技のプロフェッショナルである隅田をあっさりと倒す。

源三が毒だけの人物ではなく、かなりやれる男だというのがわかる。そして、その源三の相手となるのが磯村露風だ。人知れずアンダーグラウンドの世界で行われている闘人市場。そこでひょんなことから源三と磯村が対決することになる。

今までの餓狼伝での強者同士の対決では、決着をつけることなく終わるパターンが多々あった。途中で邪魔が入るか、お互い痛み分けとなるか。今回は作中でもトップクラスの強者である源三と磯村の対決がルールのある場所でおぜん立てされ、審判には文七までが登場してくる。

源三の毒を警戒する磯村。そして、試合前からも強者同士の駆け引きは始まっている。このワクワク感はすさまじい。試合が始まると、すぐに審判である文七を使って相手に攻撃をしたりもする。すさまじい対決だ。

毒を使う源三。磯村が毒にやられ絶体絶命のピンチになる。そこから磯村の反撃が始まる。どちらが勝つかは最初はわからなかった。結末はどうあれ、しっかりと決着がつくのが良い。本シリーズではとんでもない強者だという描写はあるのだが、その強さがどの程度でどのような序列かわからないパターンがある。

本作では明確に磯村と源三の序列ができたことになる。その他には、新たな強者が登場し、飄々とした語り口でヤクザ相手に大暴れし、ついには土方とまみえたりもする。

このシリーズはまだまだワクワクしそうだ。



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