戦国自衛隊


 2022.7.9      おもいっきり戦いたい自衛官たち【戦国自衛隊】

                     
戦国自衛隊 [ 千葉真一 ]
評価:2.5

■ヒトコト感想
リメイク版はすでに見ている。リメイクの小説版も読んでいる。初めてオリジナル版を見たのだが、やはり相当の古臭さは否めない。ただ、リメイクにはない、自衛官たちの鬱屈した思いというのが強く感じられた。自衛隊として平和な日本で闘いのない日常を過ごすのか。

村を襲い、女を攫っては好き放題する。リメイク版はより戦略的な部分が強く描かれていたのだが、戦場の荒々しさというか、男くささを強烈に感じるのは本作の方だ。自衛官たちも一枚岩ではない。そもそも戦国時代で好き放題やりたいと考える者たちもいる。演出その他は時代を感じるが、この荒々しさはオリジナルならではだろう。自衛隊の戦車やヘリであっても敵兵の物量の前にはどうしようもないというのが伝わってきた。

■ストーリー
自衛隊の一個小隊が、大演習に参加するため、日本海沿岸の集合地点に向かっていた。突然、巨大な光の渦とともに異変が起こり、彼らは群雄割拠の戦国時代である400年前にタイムスリップしてしまう。そこで後の上杉謙信こと長尾平三景虎と出会った彼らは、景虎に協力し、近代兵器を使った戦術で戦国の世を勝ち進んでいく。だが、この戦国時代には正史とのズレがあり、その事実に気づいたものの……。

■感想
リメイク版は織田信長になりきるという驚きの展開があった。本作は、純粋に現代の兵器をもつ自衛官が戦国時代にタイムスリップしたらどうなるのかが描かれている。非常に硬派で他の要素はない。平和な日本で人を殺せる武器をもちながらそれを一生使う機会がない自衛官たち。

戦国時代では思いっきり武器をぶっぱなし人間を殺せる。ある意味、異常者たちが戦国時代でその本領を発揮したといった感じだろうか。最初は戸惑いながらも迫りくる戦国武将に対して機関銃をぶっ放す快感が忘れられないというところか。

リメイク版では描かれなかった要素として、自衛官たちの略奪がある。戦争であれば当たり前のことだが、自衛官がそんなことをやる印象がない。圧倒的な力をもつ者たちが、非力な村を襲い女たちを奪い去る。戦国時代であれば力は正義なので、行動としては正しいのだろう。

同じ自衛官でも理性が残っている者がおり、それらと仲間割れする場面がある。戦国時代という異常な場所に入り込むと、誰もが正常ではいられなくなるのだろう。仲間の自衛官をあっさりと殺害す場面は強烈だ。

絶大な戦力を誇っていた自衛隊ではあるが、やはり戦国武将たちの物量の前に屈することになる。戦車やヘリ、機関銃で兵士たちを圧倒したとしても、次々と湧き出してくる兵士たちに次第に弾がなくなり燃料も切れてくる。ジープは落とし穴にはまり兵士に取り囲まれる。

ヘリは侵入され内部の乗組員が殺される。ジリ貧になるのはわかっていたことだが…。ある意味、自衛官たちは死に場所を探していたのかもしれない。今まで、手にした武器を使えないという鬱憤をすべて晴らすことで。

時代を感じるが、今見ても強烈なインパクトがある。



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