戦国自衛隊1549


 2009.6.2  都合のよいタイムパラドクス 【戦国自衛隊1549】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
過去の名作をリメイクというよりも、まったく新しい作品といったほうがいいのだろう。戦国自衛隊というタイトルを見ると、まず思うのは戦国時代の武将たちと現代の武器が戦った場合、どのようなことになるのか。圧倒的な力を発揮するのはわかっているが、それがどのようなインパクトを残すのか。本作では現代兵器対戦国時代の武器という図式よりも、ただ、戦国時代のコスプレをした自衛官たちが、お互いに戦っているようにしか見えなかった。タイムスリップして歴史を変えるうんぬんの話は置いといて、単純に目的が見えない。そして、過去から現代を変える意義というか、その大義がまったく見えなかった。ただ、昔の武将にあこがれた自衛官が、英雄を気取っているようにしか見えなかった。

■ストーリー

460年前の戦国時代にタイムスリップしてしまった陸上自衛隊を救うため、かつての仲間だった鹿島と神崎怜2尉らが、2度目のタイムスリップを敢行する。自衛隊員VS武将・織田信長の戦いを描いたSF戦国アクション。

■感想
2度目のタイムスリップで救出に向かった先には織田信長となった元自衛官の姿が…。ここまではかなり興味を惹かれた。歴史を作っていく過程で、歴史は元に戻ろうとするというその理論も面白い。偶然に偶然が重なって、事態に様々な変化が訪れるのもよい。ただ、どうしても気になるのが、自衛官がなぜ織田信長となって日本を変えようとしたかということだ。そして、部下たちがそこまで心酔するほどの大義があるようにも思えなかった。平和ボケした日本を変えようとする思いが、いつのまにかただの権力に酔う男のようにしか見えなかった。全体的に安っぽい印象をもったのは、それが一因かもしれない。

結構な豪華俳優たちが出演しているとあって、かなり目を引かれる部分ではある。しかし、肝心のストーリーがなんだかものすごく漫画的で、あまりに都合が良すぎるように感じられた。富士山を噴火させるといっても、その方法がなんだかとってつけたような方式だし、関東一円をつぶしたから、かならず日本が変わるというのもおかしな話だ。自前で戦車の燃料や銃弾を精製するなんてこともかなり適当だし、戦国時代の兵士として現代の自衛官がその生活に順応できることもありえないように思えた。すべてが漫画的であり、いい意味でも悪い意味でも想像を超えている。

現地の人間を傷つけることなく、自衛官を連れ帰ろうとする。それはタイムパラドックスを気にしてのことだろう。しかし、そこまで気にするのなら、戦車を目撃しへりに乗り込んだ人々はどうなるのだろうか。細かい部分を気にしながら時代にそぐわない物体を残して平成に戻っていく。都合の悪いことは見なかったことにしているようだ。戦国自衛隊という名作を扱うからには、どうしても比較されてしまう。そのため、あえてこのような形にしたのだろうが、なんだかへんてこな映画に成り下がっている。

少し期待していただけにちょっと残念かもしれない。



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