2022.3.30 貨物列車が運ぶ謎の物体は何なのか 【シークレット・エクスプレス】
シークレット・エクスプレス [ 真保裕一 ]
評価:2.5
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■ヒトコト感想
JR貨物に謎の物体の輸送依頼が入る。自衛隊が乗り込むほどの極秘の燃料を運ぶということで、緊急的な輸送業務となる。実際に運ぶ燃料が何かを教えられず、不信感をもちながらの輸送業務となる。平行して新聞記者が謎の輸送をかぎつけ取材攻勢が始まる。序盤から原発関係ではないかという雰囲気がでている。政府を巻き込んだ極秘任務で、なぜ原発関係の輸送が必要になったのかが新聞記者の取材と予測で明らかとなっていく。
原発反対の組織からテロまがいな行為を受け、列車が強制的に停止されそうになる。アクシデントに遭遇しても列車を止めず目的地まで運行しようとする職員。最後まで真相を話そうとしない荷主。このヒリついた感じが良い。
■ストーリー
JR貨物に緊急輸送の依頼が入る。自衛隊の特殊燃料を青森から佐賀まで運ぶのだ。計画は無事にスタートするが、ルート上で架線事故が発生。しかも、積み荷は液体の燃料とは思えない挙動を見せる。次々と予想もしない危機が続き、ついに政府と警察からは列車を止めるなとの厳命が下される。JR貨物は最大のピンチを乗り切ることができるのか
■感想
青森から九州へ謎の物体を運ぶミッションを突然依頼されたJR貨物。その前段で、政府の要人たちが何かしら大問題にぶち当たっていたというのがわかる。テロ対策として情報を外部に伝えることなく極秘ミッションとして謎の物質を運ぶ。
担当者に聞いても何も教えてくれない。その状態で、テロの危険があると自衛隊までもが同乗してくるとなると、不安に思うのは間違いない。最後まで積荷が何かを不審に思いながらアクシデントに遭遇しても列車を止めることなく運行しようとする。
新聞記者が、JR貨物が秘密裏に動いていることに気づき、アチコチ取材に動き出す。この記者の動きで真相が明らかとなる。物語の流れから、原発の廃棄物であることは想像できたのだが、どのような深刻な事態が起きたのかと思ったのだ…。
JR貨物側の運行のシリアスさに比べると、廃棄物の格納容器の強度不足というのはなんだかそこまでひっ迫した状況ではないように思えた。今すぐ容器が破壊されるわけではない。長期間の安全性は担保できないかもしれないが…。
一連の秘密裏のミッションは結局、最後には政府からの発表という形で真相が明らかとなる。ただ、物語としては、一連の流れを演出した黒幕の存在が明らかとなる。反原発の組織が運航を妨害するだとか、テロ行為を未然に防ぐために情報統制を敷くなど、強烈な状況が多々ある。
マスコミがかぎつけたとしても、警察の力と上層部の圧力により言論封鎖されてしまう。それでも原発の廃棄物の問題を世間により認知させるために必要な演出だったのかもしれない。
JR貨物が運航する列車がメインというのは新しい。
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