三体3 死神永生 上[ 劉慈欣 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
前作で三体世界との闘いはいったんは終わったかに思われた。抑止計画により三体世界との友好関係が築かれたかに思われたのだが…。三体世界が強引に攻め込んでくる。その際に新たな抑止のカギを握る程心は、抑止のボタンを押すことができない。地球や三体世界の文明を滅ぼす抑止計画を実現するのには相当な胆力が必要だ。そこから、三体世界での地球支配がはじまるのだが…。
二転三転する中で、抑止のボタンが押され、三体世界は地球から撤退していく。そこからさらに強烈なのは、三体世界の星があっさりと爆破されるくだりだ。四次元との邂逅や宇宙に潜んでいる正体不明のハンターなど、より恐ろしい展開が続いていく。地球が無害な存在だと外部にアピールすることでハンターから逃れられるというのは強烈だ。
■ストーリー
圧倒的な技術力を持つ異星文明・三体世界の太陽系侵略に対抗すべく立案された地球文明の切り札「面壁計画」。その背後で、極秘の仰天プランが進んでいた。侵略艦隊の懐に、人類のスパイをひとり送る――奇想天外なこの「階梯計画」を実現に導いたのは、若き航空宇宙エンジニアの程心(チェン・シン)。計画の鍵を握るのは、学生時代、彼女の友人だった孤独な男・雲天明(ユン・ティエンミン)。
この二人の関係が人類文明の――いや、宇宙全体の――運命を動かすとは、まだ誰も知らなかった……。一方、三体文明が太陽系に送り込んだ極微スーパーコンピュータ・智子(ソフォン)は、たえず人類の監視を続けていた。面壁者・羅輯(ルオ・ジー)の秘策により三体文明の地球侵略が抑止されたあとも、智子は女性型ロボットに姿を変え、二つの世界の橋渡し的な存在となっていたが……。
■感想
前作での羅輯の抑止計画により、三体世界は地球に手を出せなくなる。ここでいったんは平和な日常が戻ってきたかと思いきや…。三体世界と地球文明が友好的な状態となるのは、つかの間でしかない。三体世界が地球へ侵略すると分かった初期のころに、ある計画が発動しており、その回想が続いてく。
三体世界に脳だけ送り込まれ、なんらかの情報を得ようとする。この脳だけ送られた雲天明がのちに大きな役割をもって再登場してくる。三体世界の謎はより深まる展開であることは間違いない。
本作の強烈な部分は四次元との出会いだ。あの無敵と思われた水滴ですら、四次元の前では何ら意味をもたない。人類が四次元に出会ったことで、抑止計画が実行されることになる。三体世界が侵略をひそかに実行し抑止のカギを握る程心がボタンを押すのをためらううちに、三体世界は抑止を実行するアンテナを破壊してしまう。
地球文明はなすすべもなく三体世界に蹂躙されるしかない。地球のすべての人類をオーストラリアに集め、三体艦隊が来るのを待つ状態といのうのは、人類としては屈辱でしかない。
抑止が実行され、全宇宙に三体世界の座標が通知される。その瞬間に、三体世界は何者かに狙われ破壊されてしまう。三体世界は他の星からすると危険な存在と思われるために破壊された。何がその理由となるのか。
無害と外部にアピールするためには何が必要なのか。三体世界の根本に触れる部分については、いまだに判明しない。ここに何か大きな理由があるのだろう。人類よりはるかに進化した技術をもつ三体文明は滅亡の道をたどる。地球もいずれ宇宙の何物かに狙われるとして、三体文明の生き残りが地球へ攻め入らないのには何か理由があるのだろうか?
強烈な展開が目白押しだ。先が気になって仕方がない。