三体X 


 2024.10.30      原作者公認の続編 【三体X】


                     
三体X 【観想之宙/かんそうのそら】【電子書籍】[ 宝樹 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
三体シリーズの作家である劉慈欣とは別の作家がシリーズの続編を描いている。もともとはネット上にアップされた同人作品のような扱いであったのが、優れているために出版にまで至ったという感じだろうか。驚きなのは劉慈欣本人からも公認されているということだ。

序盤は三体シリーズのラストを解説するような感じだ。三体惑星の者たちがどのような姿かたちをしているのかは本編では明かされなかった。それがこのスピンオフ作品で説得力抜群に説明されている。「三体Ⅲ」での難しい設定や説明についてはほぼすべてわかりやすく説明されている。壮大な物語をより深く理解するためには欠かせない作品かもしれない。これは原作者の公認ということは、本作に書かれているすべての設定を受け入れたということなのだろう。

■ストーリー
異星種属・三体文明の太陽系侵略に対抗する「階梯計画」。それは、敵艦隊の懐に、人類のスパイをひとり送るという奇策だった。航空宇宙エンジニアの程心(チェン・シン)はその船の推進方法を考案。船に搭載されたのは彼女の元同級生・雲天明(ユン・ティエンミン)の脳だった……。太陽系が潰滅したのち、青色惑星(プラネット・ブルー)で程心の親友・艾(アイ)AAと二人ぼっちになった天明は、秘めた過去を語り出す。

三体艦隊に囚われていた間に何があったのか? 『三体III 死神永生』の背後に隠された驚愕の真相が明かされる第一部「時の内側の過去」。和服姿の智子が意外なかたちで再登場する第二部「茶の湯会談」。太陽系を滅ぼした〝歌い手〟文明の壮大な死闘を描く第三部「天萼」。

■感想
三体の真髄がここにある。本作を読まないと、三体世界のほとんどを実は理解していなかったことになるのかもしれない。あの怒涛の展開である三体Ⅲをメインに振り返る形となっている。恐ろしい三体文明とはどのような存在なのか。

タコのような宇宙人を想像したり…。三体シリーズでは三体人たちは描写されていない。脱水だとかそのあたりの表現で勝手に想像していたのだが、本作でその答えを示している。非常に説得力ある見解だ。脱水や水滴型の宇宙船など、すべてがぴったりとはまり込むような答えとなっている。

そのほか、壮大な宇宙の起源や仕組みが語られている。後半では解説がメインであるはずの本作も、さらに壮大な物語となり、比ゆ的な物語となっているため理解しずらくなっている。序盤では三体シリーズのすべてを解明するようなすばらしさがある。

次元攻撃や宇宙の摂理など、壮大な文明の数々。普通の人では想像できない世界ではあるが、この解説や物語の続きを読むことで適度に補完されているのが良い。新しい事実も登場したり。。。これらがすべて原作者公認というのがすばらしい。

歌い手が登場し文明の死闘を描くパートは難しい。とてつもない規模の戦いなので、この手の表現方法しかないのだろう。何億もの文明を破壊する存在。地球がどうだとかいう話ではない。壮大すぎて感覚がマヒしているのだが、普通に何億年も月日が経ったあとを描いているのがすさまじい。

ラストは同じ時代を再び過ごすという、ありがちなSFの設定となっている。前時代の記憶を残している一部の者が、三体惑星と人類が最初に連絡を取る前の時代も描かれている。

原作者公認ということがすさまじい。



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