作家的時評集2008-2013 


 2024.6.19      十年前も今も変わらず苦言を呈している 【作家的時評集2008-2013】


                     
作家的時評集 2008-2013 [ 高村薫 ]
評価:2.5
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■ヒトコト感想
高村薫の時評集。これまでもいくつか読んできたのだが、2024年に十年以上前の時評集を読むというのも趣深い。リアルタイムに最新の時評では、時代が悪くなっていることが語られていた。さて、十年以上前にはどのような時評なのかというと、同じようにその時の政権や時代についての最悪な状況を嘆いている。安倍政権がスタートした時期であり、橋本大阪府知事が話題となった時期でもある。

円高が進んでおり、日本の株価が一万円を割っている時代。その時期では、最悪な状況であるが、今は円安が進んでおり、株価は4万円に近づこうとしている。であっても、今度は円安過ぎて経済的な問題となっている。結局は、世間はどんな状態であっても不満は消えないということなのだろう。

■ストーリー
私たちは何を望み、いかに行動すべきか。冷徹に言葉と対峙し続ける作家が混迷の時代を読み解く。2008年以降各紙に寄稿した社会時評を収録。

■感想
作者の時評としては最近で一気に3冊読んだ。それらは時代に対して様々な不満を作者独自の切り口で語っている。ただ、印象としては常に文句というか苦言を呈していると思ってしまった。どの時代であっても不満がある。

それでいて、現在になると過去の方がましだったという考え方なのだろうか。常に最新で最悪が更新され続けていくということなのだろうか。2024年の激しい円安について世間は騒いでおり輸入食材を使うような業種が苦戦していると話題になっている。

円安にしても、株価は十年前と比べて大きく値上がりしている。これは円安の恩恵も大きいのだろう。円高の時は、円高での株安を嘆き景気が悪いと苦言を呈す。そして、円安になれば円の力が弱まっていると苦言を呈してその恩恵についてはあまり声を大きく語らないように思えた。

今の株価はバブル期を超える価格となっている。当時からすると信じられないことだろう。この時の作者が今の状況を見てどういうだろうか。また別の苦言を呈する箇所を探して不満を言うのかもしれない。

昔の時評を今読むというのも新鮮でよい。十年前に何が起きていたのか。そこから現在にどのような変化があったのか。当時、苦言を呈されていたことは、現代ではどのようになっているのか。日本は変わったのか、そして市井の人々の生活は良くなったのか。

過去を思い出すという意味でも、古い時評を読むのは面白いのかもしれない。強烈なインパクトはないのだが、ずれた時代の時評はそこだけ読むと違和感があるのだが、今との比較で面白さがあるのかもしれない。

リアルタイムで読む時評とはまた違った感覚だ。



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