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　2023.3.6 　　　　正義の警備員がテロの容疑者にされる【リチャード・ジュエル】

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リチャード・ジュエル [ サム・ロックウェル ]
評価：3.5

■ヒトコト感想
実際に起きた出来事を描いている。アトランタオリンピック関係でいうと、最近、沢木耕太郎の「オリンピア　冠」を読んだ。そこでアトランタ五輪での爆弾騒ぎやリチャードジュエルの件を知った。とんでもない出来事だ。ただ、職務に忠実に警備をしていた警備員が爆弾テロ犯として容疑をかけられる。リチャードがプロファイリングの結果、爆弾テロ犯にぴったりだからという理由だけでだ。

FBIの焦りもあるのだろうが、正義のヒーローからあっという間に大悪党のように世間が手のひらを反す。リチャードだけでなく家族や友人にもその影響は波及する。リチャードを弁護する弁護士のワトソンが強烈にかっこよい。リチャードとの出会いから良い関係であったのだが、ワトソンの存在が本作をすばらしいものにしている。

■ストーリー
1996年、アトランタ爆破テロ事件の実話。警備員の男、リチャード・ジュエル(ポール・ウォルター・ハウザー)が爆弾の入ったバッグを発見したことで、多くの人々の命が救われた。だがFBIは、爆弾の第一発見者だということを理由に彼を容疑者として逮捕。彼は、一夜にして国民のヒーローとなり、そして一夜にして全国民が敵になった。リチャードの味方になったのは、世界いち無謀な弁護士、ワトソン・ブライアント(サム・ロックウェル)。

ワトソンが捜査に異議を唱える中、女性記者のキャシー・スクラッグス(オリヴィア・ワイルド)の記事をきっかけに容疑の報道は熱を帯びていく。「事実」とされた報道の「真実」はどこにあるのか。

■感想
冒頭からリチャードはちょっと気が利く警備員という感じで、ワトソンに気に入られたりもする。ただ、客観的に見ると太っており、法の執行官としての変にこだわりがあるので、ちょっとバカにされるキャラのように思えた。

アトランタ五輪の公園でのイベントで警備員として仕事をするリチャード。リチャードが警備員の仕事に誇りをもっているのがわかる。爆弾らしき不審物を見つけた際には、必要以上にテンションが上がる。実際に爆弾とわかった時の騒ぎはすさまじい。そして、リチャードの活躍により被害は最小限に抑えることができたのだが…。

一躍メディアでヒーローとなるリチャード。警察官志望ということもあり、世間から注目されるのだが…。リチャードが少し饒舌で必要以上に話をするのがポイントなのかもしれない。その上でくそ真面目な部分もFBIがひっかかるポイントなのだろう。

ただ、全面的に悪いのはやはりFBIだ。プロファイリングと過去の情報からリチャードを容疑者とする。そのことを新聞記者に漏らしたことで、世間からバッシングをうけるリチャード。やりきれない思いが強い。リチャードの心境を思うと辛くなる。

弁護士のワトソンが最高だ。リチャードとの最初の出会いからワトソンには好感がもてた。リチャードが正義の警官になることをアドバイスし、メディアで騒がれた際には一緒に喜ぶのだが…。そこからリチャードがFBIに容疑をかけられた際には適切なアドバイスする。

リチャードがしゃべりすぎることを注意したり、FBIに対して強気に出たり。このワトソンの存在があったからこそ、リチャードは勝てたのだろう。驚きなのは無実であっても世間の流れとちょっとミスすると有罪にさせられそうだということだ。

強烈な作品であることは間違いない。