2023.4.25 プーチンは極悪人? 【プーチンの野望】
プーチンの野望/佐藤優
評価:3.5
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■ヒトコト感想
ウクライナ侵攻を行ったプーチンを徹底解明。作者はロシアに詳しいのは当然として、プーチンについても過去にいくつか言及していた。それらをまとめ、さらには最近のロシアとウクライナの関係が描かれている。日本の報道だけ見ていると、ロシアが全面的に悪いように描かれているが、実はウクライナにもいろいろと問題はあった。
ウクライナのゼレンスキー大統領が正義のように報道されているが、必ずしもそうではないことがわかる。ただ、ロシアが武力侵攻したことは事実でロシアが悪いのは間違いない。その決断をしたプーチンとはどのような人物なのか。ロシアを長期間支配し続けている男の真相が本作を読めばある程度理解できるだろう。
■ストーリー
独裁者・プーチンを徹底解明!その内在的論理を理解しなければ、ウクライナ侵攻を理解することはできない。外務官僚時代、大統領となる前の若き日のプーチンにも出会った著者だからこそ論及できる、プーチンの行動と思想。
■感想
プーチンとはどのような人物なのか。KGBの幹部からエリツィンに気に入られ大統領にまで上り詰める。そこから長い間大統領を続け、最終的にはプーチン体制として30年続きそうな勢いがある。ただ、ウクライナ侵攻を決断したことにより、プーチンがボケ始めたなんて報道もでたりする。
他国を武力で侵攻しようなどと考えるのは、プーチンの精神が異常をきたしたためなのか。ロシア情勢に詳しい作者が詳細に分析する。プーチンとしては当たり前の決断なのかもしれない。
プーチンは義理人情に厚いが、ひとたび自分の意にそぐわない相手だとわかると、冷酷に切り捨てるタイプのようだ。エリツィンに引き上げてもらった恩があるので、エリツィンを排除するようなことはしないが、エリツィンと付き合いのあった寡占企業をすべて解体するなど、自分の当初の目的を実行する決断力はある。
明らかなる独裁者で、元KGBということもあり、恐ろしさがある。独裁者としてそれまでうまくロシアを回せていたのが、ウクライナ侵攻で大きく潮目が変わることになる。
プーチンの印象は良くない。作者はそれなりにプーチンに理解を示しており、北方領土返還についてもプーチンとの関係性がよかったため、うまくいきそうになっていたようだ。それが、ウクライナ侵攻に対する日本の態度によりすべてが水の泡と消えてしまった。
独裁者の宿命としてクーデターを恐れる必要もあるのだろう。プーチンが今後どうなるのかわからないが、今後のプーチンの歴史的評価としては、間違いなく極悪人として記録されることだろう。
ウクライナ側も相当あくどいが、最初に武力侵攻したロシアがすべて悪いのだろう。
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