2022.6.16 コロナ渦にちかいものを感じてしまう【アウトブレイク】
アウトブレイク [ ダスティン・ホフマン ]
評価:3
■ヒトコト感想
かなり昔の作品だが、コロナ渦を予見させるような流れがある。未知のウィルスにより人々が次々と死んでいく。強烈なのは町全体が感染の危機にさらされた際の、軍隊に制御された町だ。家族の中で母親だけが感染し、軍の車で収容所に送られる。子供は母親に抱きつきたいのだが、感染する可能性があるので父親に止められてしまう。
収容所は簡易テントの中で患者たちが詰め込まれている。まさにコロナ渦の簡易病院のような様相となっている。患者たちはただ死にゆくだけ。コロナとの違いは、発症すると100%死亡するということだ。宿主のサルを探し出し血清を作ることで物語は解決するのだが…。コロナはこううまくはいかない。患者を収容する描写はかなり強烈だ。
■ストーリー
アフリカのザイールで発生した伝染病がアメリカに進入。このウイルスはエボラ出血熱をも上回る致死性を持ち、ひとたび感染すれば助かる道はない。軍は最終手段として感染した街ごと焼きつくそうと画策するが・・・。
■感想
エボラ出血熱の進化版とでもいうのだろうか。空気感染するようにウィルスが進化すると、世界は滅亡に近づいていく。ただ、ウィルスが強力すぎると、他者へ感染させる前に宿主が死亡してしまうので意味がないのだろう。
コロナのように無症状での感染もありうるウィルスの場合は世界中に蔓延してしまう。本作で恐ろしいのは、米軍がウィルスを抑え込むために町ごと爆弾で焼き尽くそうと考えることだ。もしかしたらアメリカではこの考え方がどこかにあるのかもしれない。
この手の作品では定番となりつつある。「コンティジョン」でもそうだが、医者が些細なミスで感染してしまうパターンだ。空気感染ということで、少しでも隙間があると、そこからウィルスが入り込み感染してしまう。
人々に感染が蔓延するきっかけとして映画館での感染が強烈に描かれている。本作の影響で、もしかしたらコロナ渦での映画館への風当たりの強さがあったのかもしれない。こうなってしまうと、感染を止めることはできないのだろう。それにしても町を消滅させるという決断はいきすぎだ。
ウィルスの根幹となる宿主を探すことで血清を作ることができるらしい。このあたり、よくわからないのだが都合がよすぎるように感じた。確かに最初の宿主が死なずに生きているのは、抗体があるからだろう。ただ、サルの抗体がそのまま人間に効果があるのか?
そもそもサルを捕獲し、すぐに血清を作ることができるのだろうか。安全性は?大量生産は?そのあたりをふっとばし、危機はサルを捕まえることで去った、という流れになっている。
コロナ渦を経験していると、本作がフィクションとは思えなくなってくる。
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