2023.12.17 偏屈な老人が少しづつ変わっていく【オットーという男】
「オットーという男」オリジナル・サウンドトラック
評価:3
■ヒトコト感想
トムハンクスが偏屈な高齢者オットーを演じる。最愛の妻に先立たれ孤独な高齢者が周りに対して悪意を振りまく。俗にいう老害の典型のようなオットー。ルールに厳しく他者に対しても厳しい。とっつきにくく、近所にいたら間違いなく近づきたくない存在だ。そんなオットーだが、新たに近所に引っ越してきたマリソン家族や近所のコミュニティの協力により変わっていく。
オットーは妻に死なれ仕事も早期退職したタイミングですべてを終わらせようとしていた。子どもがいないオットーはここから長生きしても意味がないと考えたのだろう。自殺直前で様々な邪魔が入る。次第にオットーが変わっていく様が本作の見どころだろう。どこかイーストウッドの「グラン・トリノ」に近いのかもしれない。
■ストーリー
オットーは町内イチの嫌われ者でいつもご機嫌斜め。曲がったことが大っ嫌いで、近所を毎日パトロール、ルールを守らない人には説教三昧、挨拶をされても仏頂面、野良猫には八つ当たり、なんとも面倒で近寄りがたい…。それが《オットーという男》。そんな彼が人知れず抱えていた孤独。最愛の妻に先立たれ、仕事もなくした彼は、自らの人生にピリオドを打とうとする。
しかし、向かいの家に越してきた家族に邪魔され、死にたくても死ねない。それも一度じゃなく二度、三度も…。世間知らずだが、陽気で人懐っこく、お節介な奥さんマリソルは、オットーとは真逆な性格。小さい娘たちの子守や苦手な運転をオットーに平気で頼んでくる。この迷惑一家の出現により “自ら人生をあきらめようとしていた男”の人生は一変していく――。
■感想
オットーは偏屈で気難しい。愛想がなく、細かくルールを守らせようとする。若いころから住んでいる土地であるが、周りからはちょっと気難しい人物という扱いを受けている。オットーがスーパーでいろいろとクレームを言う場面は、まさに老害の典型という場面だ。
家が連なる私道に配達の車が入っただけでもクレームの嵐だ。こんな人物が近所に住んでいたら距離を取りたくなるのは間違いない。ただ、オットーの根本にあるのは、ルールを守るということだ。厳格すぎるというのもあるのだが…。
オットーの家の向かいにマリソル家族が引っ越してくる。陽気でおせっかい。初対面のオットーに対しても距離を詰めてくる。オットーがちょっと勢いに押されてタジタジしているのが良い。マリソル家族が急激に距離を詰めてくるので、オットーはそのペースにのせられている。
何かとダメなマリソルの旦那をオットーがサポートする。孤独なオットーが変わっていくのが良い。途中でマリソル夫妻が外食するからと子供の面倒をオットーに見させる場面がある。あまりに図々しくないか?と思ってしまった。
オットーの過去が語られ、最愛の妻とのなりそめや、その後の流れが描かれている。ご近所さんとの軋轢が生まれた原因や不動産会社のたくらみなど。。。それらはオットーが変わっていくきっかけとして描かれている。不動産会社の悪だくみをオットーが見破り逆襲する場面は最高だ。
そこからマリソル夫妻との関係は強固になり、オットーは変わっていく。マリソルが本気でオットーにぶつかっているので、それがオットーにまで伝わっているのだろう。
この手の高齢者の物語は考えさせられるものがある。
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