オメガ城の惨劇 


 2023.6.16      マガタシキとサイカワが登場するのだが… 【オメガ城の惨劇】

                     
オメガ城の惨劇 [ 森博嗣 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
サブタイトルにサイカワと登場してくるので「すべてがFになる」と同様に犀川とマカダシキとの対決があるものと思っていた。オメガ城に集められた共通点のない関係者たち。その日の夜に4人もの人が死亡していた。前振りとしてミステリの名作の話が登場してくるので、それ系のミステリーかと思いきや…。マガタシキは最初に登場したのみであり、ほとんど関係はない状態となっている。

ミステリー的には特別な要素はない。ミステリーにはうってつけの舞台と設定が用意されており、サイカワが事件を鮮やかに解決、かと思ったのだが…。作中で自分の知るサイカワとはイメージの違う言動があり、違和感を覚えた。その理由はラストで明らかとなる。

■ストーリー
孤島に聳えるオメガ城への招待に応じた六人の天才と一人の雑誌記者。そこには、サイカワ・ソウヘイも含まれていた。彼らが城へやってきた理由は、ただ一つ。招待状に記された「マガタ・シキ」の名前だった。島へ渡るには、一日一便の連絡船を使用。帰りは、あらかじめ船を呼ぶ必要がある閉じた空間。執事すら主催者の顔を知らず、招待の意図は誰にもわからない。謎が多い中の晩餐をしかし七人は大いに楽しんだ。そして、深夜。高い叫び声のような音が響き、城は惨劇の場と化した。

■感想
孤島にそびえるオメガ城。六人の天才と一人の雑誌記者。そしてマガタシキと関係があると思われる場所。明らかに何かが起きそうな雰囲気がある。サイカワが登場しマガタシキと衝撃的な再会をする。このことにどのような意味があるのか。

全て読み終わった後で考えてもよく意味はわからない。マガタシキはすべてを予想していたとしても…。一晩で4人が死亡する事件が起きる。そして、お決まりどおり電話がつながらなくなりネットも不通となる。そして、城のスタッフも姿を消してしまうのだが…。

犯人は誰で、どのような目的があったのか。調査するのはメインはサイカワで狂言回し役は編集者となる。サイカワが相変わらずの理系的なそっけない理屈満載の受け答えをする。これは違和感がないのだが、そこで編集者とサイカワが一晩過ごすような描写がある。

これを読んだ瞬間に違和感が満点だった。サイカワがそんなことをするのか?という思いが強いまま最後まで読み進めると、そのまま謎はあっさりと解明される。有名なミステリの名前を出していたので、それに負けないほどのトリックがあるのかと期待したのだが…。

ごく普通のミステリーとなっている。特別な驚きはない。ミステリーの部分よりもエピローグが一番驚いた。紅子の名前が登場し、もともとはサイカワではなく紅子が招待されていたと。そして、紅子はある人物に自分の代理を依頼した。それはサイカワではなく、その人物がサイカワに成り代わっていた。

作中でははっきりと明言されていないが、保呂草のことなのだろう。これは過去のシリーズ含めて読んでいないと気づかない面白さかもしれない。

ミステリーの部分は平凡だ。



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