2023.9.3 後半になるとよくわからなくなる 【オキーフの恋人 オズワルドの追憶 下】
オキーフの恋人オズワルドの追憶 下巻/新潮社/辻仁成
評価:3
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■ヒトコト感想
上巻から引き続き、編集者と失踪中の人気作家が描いた作品の二つのパートが交互に描かれている。小説家の小説と同様に現実の世界でも同じような事件が起きる。上巻での小説作品のミステリアスな展開は続くのだが、後半はわけの分からない展開となった。マインドコントロールされ、小説内部では誰がどの人物かがよくわからなくなる。
それが現実の世界ともリンクしているようで…。明確な結論がでないのは想定していたのだが…。小説「オズワルドの追憶」の結末は小説作品なのでなんでもありなのだおろう。「オキーフの恋人」はその小説とリンクするとはいえ、結末は微妙だ。新興宗教やマインドコントロール、集団自殺など怪しげな言葉が多数登場するのだが…。想像を超えることはなかった。
■ストーリー
サリンジャーを彷彿とさせる人気作家の失踪に端を発し、画家、ジョージア・オキーフを敬愛する編集者が事件に巻き込まれていく「オキーフの恋人」、その失踪作家が失踪先から投稿を続け、予言通りに起こる謎の連続殺人事件が空想を超え現実にまで影響を及ぼしてくる「オズワルドの追憶」。この二つの作品は下北沢という同じ東京の住宅地を舞台にしながら、縦軸と横軸が常に交差し、複雑に入り乱れ、次第にこの21世の現代を予言するような衝撃的結末へと読者をひきずりこんでいく。
■感想
失踪した作家が描いた「オズワルドの追憶」が人気作品となる。作者が失踪したということを言わなければ、単純にどこかに缶詰めになって作品を書いているとだけ思われる可能性がある。作家の代理人である盲目の女性と主人公は密に連絡をとり、肉体関係にまでなる。
人気作家はどこにいるのか。なぜ失踪しているのか。代理人と付き合うのをやめろ、という強迫の電話が主人公に入る。このあたりから、代理人の存在が怪しくなる。実は作家と代理人が親娘関係にあるという衝撃的な事実が明らかとなる。
小説内での事件は佳境を迎える。連続女子高生殺害事件の犯人と思わしき人物が追いつめられた。が、その人物は自分のことを探偵の夢想と思い込んでいる。何がどうなっているのか。単純に思い込みの激しい者の犯行なのか。
ことごとくその人物が夢想となり経験したことが、一部は事実だがすべて本当の夢想が経験したことになっている。ミステリアスな展開は続いており、ラストで真犯人が明らかとなる。オチとしてすべてマインドコントロールで記憶を無理やり作り上げられていたという流れだ。
結局、代理人の女が全ての元凶であったということだ。小説作品と同じ事件が起きると、出版社としては小説が話題になるチャンスとして色めきだつ。主人公のみ小説家の代理人と連絡がとれるので、カギを握る人物として内部での扱いが変化していく。
オキーフという謎の幻覚を見る主人公は、代理人の女性の正体を知り、そして変わっていく。新興宗教の教祖となっていた代理人の女性の動きというのは到底盲目の女性とは思えないバイタリティだ。
後半はよくわからない物語となっている。
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