呪われた町 下 


 2022.12.17      純粋な吸血鬼小説だ 【呪われた町 下】

                     
呪われた町 下 (文春文庫) [ スティーヴン・キング ]
評価:3
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■ヒトコト感想
上巻では町で何が起きているのかわからない状態だった。後半では吸血鬼の存在がうっすらと明かされてはいたのだが…。下巻では明確に吸血鬼と町の人々の対決が描かれている。町に吸血鬼がいることに気づいた者たち。神父を中心として吸血鬼と対決する。幼い子供や小説家など、ごく普通の町の人々は吸血鬼の恐怖におびえながら戦いを決意する。

吸血鬼を倒すためには、昔ながらの方法が有効となる。十字架や杭を心臓に刺すなど。そして太陽の光に弱いのも定番だ。町にはびこる吸血鬼は増大していく。これもある意味定番ではある。吸血鬼小説としては普通なのかもしれない。前半の、町で何かが起こっているかわからない状態から一気に変化していく後半だ。

■ストーリー
町に不吉な事件が頻発しはじめた。相次ぐ不審な死、そして甦る死者。ベンと仲間たちは丘の上の屋敷に潜む謎に迫るが、忌まわしいものの魔手が彼らに…。静かに降り積もってきた恐怖がついに怒涛となって爆発する!これぞ恐怖の帝王の本領発揮。歴史にその名を刻む名作、読む者の呼吸を奪うクライマックスへ。

■感想
上巻は町で何が起こっているのかわからない状態となっていた。何かが起きているがその何かがわからない。小説家のベンがよそ者ということで、何かと町の人々から白い目で見られたのが上巻の流れだ。そこから、吸血鬼の存在により町の人々が次々と吸血鬼になっていることが判明する。

そのことに気づくのは一部の人々のみ。子供が気づきベンが気づき、神父が気づく。それまで何もない平穏な田舎町が、突如として吸血鬼だらけの町となる。吸血鬼に支配されるのか、人々が反撃するのか。。

下巻は典型的な吸血鬼小説の色合いが強い。太陽の光に弱く、夜に活動する。噛みつかれると吸血鬼になってしまう。十字架に弱く、心臓に杭を刺すことで倒すことができる。神父は吸血鬼に対して強い。町の中で一部の気が付いている者たちによる吸血鬼との闘いがひそかに繰り広げられている。

吸血鬼との闘いを選んだがために、吸血鬼側から家族をターゲットにされるパターンもある。遅かれ早かれ、吸血鬼を放置していたのなら、町中すべてが吸血鬼だらけとなってしまうのだが…。

一部の勇者たちが吸血鬼と対決する。吸血鬼のボスとの対決もしっかり描かれている。ある意味、下巻は純粋な吸血鬼小説となっているので、ラストの展開も想定できる内容となっている。

強烈なインパクトはないのだが、アメリカの小説なので、ヒーロー崇拝というか自己犠牲の精神で皆を助けるヒーローの存在や、町の危機を救うために必死に戦い続ける者たちへの尊敬のようなものが全体を通して表現されている。吸血鬼が十字架に弱いまではあるのだが、ニンニクに弱いという要素はなかったような気がした。

下巻は純粋な吸血鬼小説だ。



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