ナイル殺人事件


 2024.3.15    事件発生までの前振りが長い【ナイル殺人事件】


                     
ナイル殺人事件 [ トム・ベイトマン ]
評価:3

■ヒトコト感想
「オリエント急行殺人事件」の続編として描かれた本作。ナイル川下りを楽しむ豪華客船の中で連続殺人事件が起きる。犯人は早い段階で想像できた。本作では事件が起こるまでかなり前振りの時間が長い。物語は後半に入りかけたころに最初の殺人が発生する。そこから連続で殺人が発生するのだが…。

探偵ポアロが乗客たちに尋問するシーンが続く。そこではポアロはのべつまくなしに乗客たちに殺人の容疑をかけているのかもしれない。ミステリーの定番的な流れがあり、ラストの「この乗客たちの中に犯人がいる」という流れは安心できる。ポアロが乗客に尋問しているときと、ラストの犯人を指名するまでの間に、何が起きたのか。なぜそこまで推理が発展したのかの説明はない。

■ストーリー
「世界一売れている作家」アガサ・クリスティ原作。“世界一の名探偵”ポアロが挑む、エジプトの神秘ナイル川をめぐる極上のミステリー・クルーズ。大富豪の美しき娘の新婚旅行中に、クルーズ船内で起きた連続殺人事件。容疑者は、乗客全員──。豪華客船という密室で、誰が何のために殺したのか?そして、ポアロの人生を大きく変えた≪衝撃の真相≫とは? 愛と嫉妬と欲望が複雑に絡み合う、禁断のトライアングル・ミステリーの幕が開く。

■感想
豪華客船内で殺人事件が発生した。殺されたのは新婚旅行中の大富豪の娘だった。いわくつきの新婚旅行であり、夫側には妻の親友ともともと付き合っており、妻が夫を略奪して結婚したような形だ。そんな新婚旅行の場になぜか元カノがいる。

明らかにこの元カノが男を奪い取るために大富豪の娘を殺害したという流れにしたいのだが…。元カノは大富豪の娘が殺された時間には鎮静剤で深く眠り込んでいた。男の方は元カノに足を撃たれていたという状況で、だれが富豪の娘を殺したのかという流れとなる。

ポアロはこの豪華客船に偶然乗り合わせていた。殺人事件を解決するために乗客に尋問するのだが…。この尋問がかなり無理筋だ。すべての乗客にあなたが犯人だと迫る。確かに富豪の娘を殺す動機はあるのだが…。当然ながら乗客たちは強く否定する。

ここだけ見ると、ポアロはポンコツな探偵のように思えてくる。ここまではろくな推理をしていない。この状況から次々と殺人事件が発生する。ラストの殺人はポアロの目の前で起こる。この段階でなぜかポアロはすべてを推理してしまう。

それまでのポンコツのポアロが、ラストですべてを解明する。ただ、なぜポアロがすべてを推理できたのかの種明かしがない。ほかの推理モノであれば、推理を決定づける何かに探偵が気づくだとか、推理の描写がありすべてを解き明かすのだが…。

犯人は最初の段階で想像がついた。「オリエント急行殺人事件」の犯人はかなりびっくりした。まさかの展開だった。本作もそのパターンを期待したのだが…。想定通りの犯人でトリックも予想したとおりだった。

前振りがかなり長い。



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