MERU


 2022.12.10     とてつもない偉業のドキュメンタリー【MERU】

                     
MERU/メルー /コンラッド・アンカー
評価:3

■ヒトコト感想
前人未踏の山メルーに挑むドキュメンタリー映画。登山映画と言えば「エベレスト」などのようにエベレストがイメージできるが、メルーは断崖絶壁をクライミングする類なので、難易度はけた違いなのだろう。一度失敗し、仲間がスキーで大事故にあい参加不可能な状態となる。様々な困難を乗り越えメルーに登頂する。ドキュメンタリーなので、実際に登頂している場面が映像として残されている。

ぎりぎりの状態でテントの中で愚痴を言い合う3人。断崖絶壁にテントを建て付け、その中でしばらく休憩する。目の前に頂上が見えているが、断念した1回目。2回目は意地でも登頂してやるという強烈な気迫を感じる場面が多々ある。冷静な部分と情熱的な部分が同居している作品だ。

■ストーリー
2008年10月、コンラッド・アンカー、ジミー・チン、レナン・オズタークの3人はメルー峰へ挑むため、インドに到着した。7日間のはずだった登山は、巨大な吹雪に足止めされ、20日間 に及ぶ氷点下でのサバイバルへと変貌。過去の多くのクライマーたちと同じく、彼らの挑戦は失敗に終わった。難攻不落の山頂まで残りわずか100メートルのところで。敗北感にまみれた アンカー、チン、オズタークの3人は、二度とメルーには挑まないと誓い、普段の生活へ戻っていく。

ところが故郷へ帰ったとたん、肉体的にも精神的にも苦しい数々の苦難に見舞われる 。一方、心の中のメルーの呼び声が止むこともなかった。そして2011年9月、コンラッドは2人の親友を説得し、シャークスフィンへの再挑戦を決意。それは前回以上に過酷なチャレンジ となった……。友情、犠牲、希望、そして人間の奥底に眠る、原始的な冒険心について描いた、壮大なスケールの映像美で綴られる山岳ヒューマン・ドキュメンタリー。

■感想
メルーに登る3人の男たちを描いたドキュメンタリー。インタビューと実際の映像を交えメルーを制覇するまでを描く。イメージとしてはエベレストが最も登頂困難なのかと思っていたがそうではないようだ。メルーは、山頂へ到達するまでに断崖絶壁があるためエベレストよりもはるかに難しいらしい。

3人が交互にカメラを構えて撮影しているのだろう。それぞれのアングルで実際に登頂する場面が映像に残っている。印象的なのは断崖絶壁にテントを建て、吹雪のためそこに何日間もとどまる場面だ。

1度目は失敗する。天候に影響されたというのもある。ギリギリ頂上が視界にとらえることができるところまで登るのだが、ここでアタックすると夜をテントなしで過ごさなければならない。それは死を意味する。冷静に撤退することも必要なのだろう。

ここで無理すれば、もしかしたら、というのもあるが、死ぬ可能性も高い。それまで必死に登り続けた行程がすべて無駄になると考えると…。その後、1人がスキーで事故にあい頭蓋骨に穴があくほどの重傷を負う。それでもメルーを諦めない執念がすさまじい。

すべてがリアルな映像なのがすばらしい。事故から復帰しメルーへ挑むために必死でトレーニングする姿。そして、不安にかられる家族。メルー登頂は、運の要素も大きいのだろう。絶壁を登りつづけ、崖でテントを張り、吹雪に耐えながらひたすら崖を登り続ける。

6000m級の山の頂上への最後が絶壁というのもすごい。頂上も人がひとりいられる程度の狭さだ。とてつもない達成感だというのが伝わってきた。歴戦のプロ登山家たちが誰もなしえなかった偉業達成の瞬間だ。

全てがリアルな映像というのがすばらしい。



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