エベレスト


 2022.10.19     エベレストの登山ビジネス【エベレスト】

                     
エベレスト [ジェイソン・クラーク]
評価:3

■ヒトコト感想
エベレストでの登山ガイドが存在することに驚いた。素人がトレーニングをして金さえ払えばエベレストへ登ることができる。登頂ツアーは命の危険が伴うのだが、それでもツアーに参加する客は後を絶たない。本作は実在する人物を元に描かれている。

ガイドのロブは周りのツアー会社と協力して、円滑に登頂を成功させようとするのだが…。他国の登頂により登頂ルートが渋滞状態になっていたり、固定ロープに問題があったりと、登頂までに時間がかかることになる。一部の者は無事に登頂できたのだが…。下山が遅れブリザードと酸欠で生き残りをかけた下山となる。本作に登場した人物たちは実在したということに衝撃を受けた。特に、ギリギリの状態で生還した者は強烈なインパクトがある。

■ストーリー
1996年春、登山ガイド会社を営むロブ・ホールの率いる登頂ツアーはネパールに到着する。ベースキャンプ(標高5,364メートル)で約1カ月間入念な準備を整えた後、頂上を目指す冒険に出発した一行は、順調に第4キャンプ(標高7,951メートル)まで登っていく。しかし、頂上アタックの日、固定ロープの不備や参加者の体調不良などでスケジュールが狂い、下山が大幅に遅れてしまう。さらに未曾有の嵐の接近で急激に天候が悪化。<デス・ゾーン>で散り散りになった登山家たちは、ブリザードと酸欠との過酷を極めた闘いの中で、生き残りを賭けた能力を試されることになる…。

■感想
素人が多少トレーニングをした程度でエベレストへ登頂しようとする。それをガイドとしてビジネス化したのはロブたちだ。ある意味、自業自得なのかもしれない。大金を払ってエベレストへの登頂を目指す者たち。人生にチャンスはほぼ1度きり。

そんな状態で、途中で引き返せというのは酷な話なのだろう。ガイドとして冷静な判断ができれば、無理なものは無理と即答できたのだが…。ロブは無理して登頂をOKしてしまう。そこから、登頂してから下山で遭難するのが多いというのは事実なのだろう。

通信機器が発達したので、頂上から無線でベースキャンプに連絡することもできる。そんな状態で、下山中に遭難してしまうロブ。もちろん、動けなくなった者を助けるために無理した結果だ。ウェアの進歩なのだろうか。寒さでどうにかなるというよりは、酸素がなくなり動けなくなるというのが大きいのだろう。

確保していたはずのボンベには酸素がほとんどなかった。絶望的な状態で、遭難したロブを助けに向かった仲間たちも天気が荒れたために助けに向かうことができない。

本作はすべて実話で、登場する人物も実在したらしい。ツアーの参加客もそのままのようだ。何人が遭難し何人が生き残ったのか。登頂してから下山するまでの間にブリザードにより身動きが取れずに死亡するケースもあるのだろう。

ロブは体のあちこちを凍傷で失い、鼻も凍傷で失った状態でなお、今でも登山ガイドをしているらしい。結局は金ということなのかもしれないが…。エベレスト登頂に大金を払い、死ぬかもしれないと考えながら登頂する人も後を絶たないのだろう。

強烈な作品だ。



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