マロナの幻想的な物語


 2022.6.19      ピカソ風な絵の特殊なアニメ【マロナの幻想的な物語】

                     
マロナの幻想的な物語り [ リジー・ブロシェレ ]
評価:3

■ヒトコト感想
まず絵柄に強烈なインパクトがある。普通のアニメではない。ヘタウマな絵とでもいうのか。ピカソのような芸術作品とでもいうのか。一匹の犬を中心として物語はすすんでいく。独特な絵柄がかもしだす世界観は強烈だ。考えたのは、もし本作を今風の「ヴァイオレット・エバーガーデン」のような絵で描いたとしたら…。なんてことない作品となっているだろう。

犬の心情風景を芸術的に表現する。飼い主に愛されているのを飼い主の体が紐のようにほどけ、犬の体を包み込む。飼い主の奥さんが嫌な存在であれば、まるで薄っぺらいファッションとマウンティングに力を入れるのっぺらぼうの女として描かれたりもする。気難しい老人のカクカクとした歩き方も印象深い。一度見たら忘れない絵柄だ。

■ストーリー
血統書付きの父と、ミックス犬で優雅な母との間に生まれたマロナは、同時に生まれた9匹きょうだいの末っ子で、“ナイン”と呼ばれていました。ハート型の鼻を持つ女の子です。生まれてすぐ家族から引き離された彼女は、曲芸師マノーレの手にわたり、“アナ”と名づけられました。住処も名前も決まり、アナにとって幸せな日々が訪れたかに思えましたが…。

■感想
犬のマロナの物語だ。生まれたと同時に家族から引きはがされたマロナ。最初はナインという名であったが、次々と名前が飼い主によって変えられていく。最初は曲芸師に拾われることになる。まず、この曲芸師の表現の仕方がすばらしい。

体を糸のようにほつれさせながら、曲芸をする。体全体が糸のようになることに意味はないのだろう。ただ、曲芸師の行動を表現する際には、糸を巧みに動かしながらの表現となっている。ピカソのようなヘタウマなキャラクターたちが動くのは強烈だ。

マロナは曲芸師から離れ別の飼い主の元にいく。この飼い主自身は良いのだが、その嫁が特殊だ。飼い主とのマロナの関係は良好だ。嫁は最初はマロナに好意的であったが、最終的にはマロナの飼い主を独占しようとする。飼い主の嫁は、典型的な嫌な女だ。

夫の前だけでしなだれる。嫁の絵柄も見た目だけをきらびやかにし、中身が真っ黒なキャラクターとなっている。マロナはその後、この飼い主とも別れていく。マロナの飼い主は、マロナとの別れを悲しみながらも、自分の生活を守るために動いている。

マロナはある家族の元へやってくる。そこでは、老人がマロナを必要以上に忌避していたのだが、最後には一緒に公園に散歩したりもする。この老人は偏屈だが、最後にはマロナと良い関係を築けている。老人が倒れた際には、マロナが家族の元に知らせに行ったりもする。

マロナから見た人間たちの映像というのは常に特殊だ。マロナの人生というのは、様々な飼い主の元で生活していく。マロナの犬としての生活というのはある意味普通の人生なのかもしれない。

特殊な絵柄の作品で、芸術性の高いものとなっている。



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