ロスト・エモーション


 2024.1.28    感情の発露は病気とみなされる【ロスト・エモーション】


                     
ロスト・エモーション /ニコラス・ホルト
評価:2.5

■ヒトコト感想
人類は戦争をなくすためにある結論に至った。人間が平和的に生き残るために感情のない人間とする。この手の人々が薬を飲んで飼いならされる流れは「ヴォイジャー」がある。発表時期的には本作の方が先なのだろう。人類が生き残るために管理された空間で、管理された生活をする。無表情でみな同じ真っ白な服を着て生活する。感情を発露した者たちが収容される施設はまさにがちがちに管理された空間だ。

感情の芽生えを感じた青年サイラス。若者が若い女性に惹かれる。このパターンも定番かもしれない。サイラスは同じく感情を取り戻したニアと恋に落ちるのだが…。秘密を共有したふたりが、どのように変化していくのか。ラストの展開が悲しすぎる。

■ストーリー
人類史上最大の世界戦争によって地球の陸地の99.6%が破壊された近未来。破壊を免れた土地に生き残った者たちは「人類を滅亡させる最たる原因は感情だ」という考えのもと、人類が平和的に生き残れるよう遺伝子操作を施した感情のない人間の共同体<イコールズ>をつくった。そこで暮らす全ての人間は管理され保健安全局の監視下に置かれ、愛情や欲望などの感情を“発症"してしまった者は「欠陥者」と見なされ、DENと呼ばれる隔離施設へ強制的に送られて安楽死させられる。

自分のなかに感情が芽生え始めていることを自覚したサイラス(ニコラス・ホルト)は、医師の診察を受け抑制剤を服用していた。あるとき、職場の同僚であるニア(クリステン・スチュワート)もまた、自分と同じ感染者であることを知る。秘密を共有した二人は互いに惹かれ合い、かけがえのない存在となる。だが、共同体にいればやがてつかまってしまう。悩んだ末、二人は外の世界へ脱出することを決意するが……

■感想
地球の破壊を招いた人類の戦争。その戦争を二度と起こさないために必要なことは…。人間の感情をなくすことだった。確かに感情がなければ怒りや憎しみがなくなり、戦争は起きないだろう。その代わり意欲や生きるための力がなくなるような気がするのだが…。

感情を取り戻した者は、病人扱いとなる。今でいうところの精神病のような扱いなのだろう。隔離施設に入れられそこで治療される。ただ、隔離施設とはいえ、綺麗で快適な雰囲気はある。そこにいる者たちが全員ロボットのようなことを除けば…。

隔離施設で規則正しい生活をする人々。上下真っ白な服を着て無表情で仕事をし食事をする。病院という雰囲気よりは、未来の職場のような雰囲気がある。ただ、そこにいる人々が全員前を向いたまま真っすぐ歩いており、無駄な雑談はいっさいない。感情のない人間はまさにロボットのような存在となる。

サイラスはその中で少しづつ感情を取り戻しており、そのことに苦悩している。感情がわいてくるのは病気と言われてきたのなら、苦しむのは当然だろう。同じく病気を隠していたニアと出会い、ふたりは恋に落ちるのだが…。

食事に出てくる謎の薬を飲むと自然に感情がなくなっていく。それをひそかに拒否してきたサイラスたちなのだが…。感情を発露し始めた人々に対して強制的に手術することが決定される。ニアはサイラスの子供を妊娠していることを知られ、上層部に逮捕されるのだが…。

サイラスはニアが死亡したと伝えられ、ショックから感情をなくす手術を受ける。が、その後、実はニアが別人として生きていると知る。あと、5時間で感情がなくなることになったサイラスと、生き残ったニアの最後の場面は悲しすぎる。

隔離施設の描写はすさまじい。



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