コロナ狂騒録 


 2022.10.9      当時のコロナの異常な騒ぎを感じる作品 【コロナ狂騒録】

                     
コロナ狂騒録 [ 海堂尊 ]
評価:3
海堂尊おすすめランキング
■ヒトコト感想
前作「コロナ黙示録」から続く物語。限りなく現実に近い出来事が描かれており、そこにバチスタシリーズの登場人物が絡んでくる。現実のコロナ騒動をそのまま、明らかに実在の人物をモデルとしたようなキャラたちが、田口や白鳥たちと絡みだす。報道で大騒ぎしたコロナ騒ぎを作者の思いも込めて揶揄している。

特にワクチンを確保する際の騒動や、大阪維新の会の騒動なども、実在の人物をモデルとするように描いている。これをフィクションというのはかなり厳しいだろう。下手したら各所からクレームがくるかもしれない。それほど現実とリンクしている。現実と異なるのは白鳥が総理大臣と話をしたり、日本独自のワクチン開発に尽力する場面だ。

■ストーリー
2020年9月、新型コロナウイルスは第二波が収まりつつあった。安保宰三は体調不良を理由に首相を辞任、後継の酸ヶ湯政権がGotoキャンペーンに励み、五輪の開催に向けて邁進していた。そんな中、日本に新型コロナウイルスの変異株が上陸する。それまで目先を誤魔化しながら感染対策を自画自賛していた浪速府知事・鵜飼の統治下、浪速の医療が崩壊し始め……。浪速を再生するべく、政策集団「梁山泊」の盟主・村雨元浪速府知事が、大ボラ吹きと呼ばれるフリー病理医の彦根医師や、ニューヨーク帰りの天馬医師とともに行動を開始する。

■感想
世間のコロナ騒ぎを物語の中に組み込んでいる。大阪は浪速となり現実で大阪で騒ぎになった出来事がそのまま架空のキャラということにはなっているが、実際の人物をモデルにしたキャラが動き回っている。そこには作者の偏見もあるのだろうが。。

医師である作者がコロナ騒ぎをどう見ているのかがわかる。感染症の専門家の意見を正義としており、東京オリンピックを実行しようとした政府などを痛烈に批判している。ワクチンについても、ワクチンは正しく、日本独自のワクチンを作るという流れにまでなっている。

政治的な揶揄はもちろんのこと、政治家が適当なことを言ったのをそのまま面白可笑しく揶揄している。イソジンがコロナに効果があると言った吉村知事を揶揄したり。明確な答えを言わない菅総理大臣を揶揄したり。フィクションということにはなっているが、明らかに現実に即している。

そこに白鳥やオレンジ新棟のメンバーたちが関わってくる。特にコロナ対応で疲弊している看護師たちの状況について適格に表現されているのだろう。物語化されるとより、わかりやすくなる。

医者の観点からコロナに関して深く考察があるのかと思ったがそれはない。あくまでも世間の出来事をなぞるような展開となっている。実はコロナは何が原因だとか、特効薬はあるのかだとか、治療薬だとか、後遺症についてなど、医者出身の作家なのでその辺があるのかと期待してしまった。

ラストでは日本独自のワクチンを素早く製造するという流れとなっているのだが…。本作の続編がでるとしても、日本製ワクチンは成功したことになるのだろうか?

結局は、コロナ騒ぎはなんだったのか。後で本作を読むと異常に感じる可能性がある。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
*yahoo.co.jp