コロナ黙示録 


 2021.1.3      医者の作者がコロナ騒動を描く 【コロナ黙示録】

                     
コロナ黙示録 [ 海堂尊 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
ここ最近の日本の政治がらみのスキャンダルやコロナの状況などを、明らかに実際に起きた出来事や登場人物がイメージできるように描いている。安部総理を安保総理として、明恵夫人を明菜夫人とする。コロナに関する出来事もそのまま描かれている。作者が医者なだけに、医者である作者がコロナをどのように描くのか。

コロナウィルスの恐怖を描きつつ、基本は今、日本で起きていることをそのまま描いている。ただ安部総理に対しては、かなり辛辣な描き方をしている。今の日本のコロナ騒ぎを、バチスタシリーズに登場してきた医者たちはどのように対処するのか。速水や田口や白鳥が奮闘し、コロナを抑え込もうとする。バチスタシリーズを読んでいないと辛いだろう。

■ストーリー
豪華クルーズ船で起きたパンデミックと無為無策の総理官邸。病院で起きていること。混乱する政治と感染パニックの舞台裏!世界初の新型コロナウイルス小説。桜宮市に新型コロナウイルスが襲来。その時、田口医師は、厚労省技官・白鳥は―そして“北の将軍”速水が帰ってくる!世界初の新型コロナウイルス小説!

■感想
バチスタシリーズのキャラが勢ぞろいし、今のこのコロナ騒ぎに対する対応を描いている。コロナにはどのような恐怖があるのか。医者である作者がコロナの恐怖を描く。ただ、特別目新しい情報があるわけではなく基本的には、報道されているようなことがそのまま真実として描かれている。

ただ、老人と若い医者が同時にECMOが必要になった時に、どちらを助けるのかの問題が勃発している。トリアージは必要だという理論ではあるが、冷たく切り捨てて終わっていないところが良い。

コロナ騒ぎと共に、安部政権の話も描かれている。政治的なスキャンダルの数々。それらをどのようにして対処してきたのか。首相は実はすでに決断することができずにいる。すべては婦人が決断しているというフィクションならでわの展開となっている。

コロナでの緊急事態宣言や8割おじさんなど、様々な出来事の裏を作者独自の視点で描いている。結局のところは第2波が起きる前に書き終わったのだろう。第1波が収束したあたりで終わっているので、その後の展開がどうなるかは描かれていない。

政治的な問題については、黒川検事がすべて不起訴とした、という流れとしている。世間で言われていることをそのまま物語としている。ある意味、ノンフィクション的ではあるのだが…。世間の出来事をそのまま物語化しているので目新しさはない。

結末もある程度同じなので、特別な印象もない。裏で何が起きているかを作者が独自に想像して描いているのだが、結末は変わらない。安部首相が辞任する前までの物語なので、その続きを読みたい気持ちとなるのは確かだ。

作者は明らかに安部政権を否定する立場だ。



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