危機の読書 


 2023.7.2      危機に直面した際に読むべき本 【危機の読書】

                     
危機の読書 (小学館新書) [ 佐藤優 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
今の日本は様々な危機に直面している。作者が他者の書籍を通して、危機をどう乗り越えるかを語っている。基本は書評だ。本作で登場した書籍についてはすべて読んだことはない。ただ、本作を読めば、なんとなく雰囲気がわかる。現在の危機の種類と、その本質が描かれている。コロナ渦やロシアとウクライナの戦争、安倍元総理の襲撃事件。

それらが今回紹介されている書籍とどのような関係があるのか。作者が常に主張してきた内容の焼き直しでもある。哲学者のフロマートカだとか資本論の解釈の仕方だとか。日本の公安警察の物語は非常に興味をもった。もしかしたら「鳴かずのカッコウ」だけは読むかもしれない。強烈なインパクトはないが、作者おすすめの書評と考えればよいのだろう。

■ストーリー
コロナ禍にウクライナ侵攻、安倍元首相銃殺。さらには物価高に温暖化。遠い地で起こったはずの出来事が、あなたの暮らしを突如襲う。世界は複雑に絡まり合い、一寸先の予測さえ不可能である。ではどうするか。

■感想
今回紹介された作品は何一つ読んだことはない。過去の書籍を参考に現在の危機をどう乗り越えるかが語られている。ロシアとウクライナの戦争について語られている箇所は非常に興味深い。そもそもが作者はロシアの専門家だったので、「民族とナショナリズム」という作品と照らし合わせて語っている。

今回の戦争でウクライナが勝利することはない。日本の報道は、ウクライナ贔屓で報道されている。日本は欧米諸国に比べ、実はロシアとの利害関係は継続されているなど、非常に興味を惹かれる内容が続いている。

手嶋龍一「鳴かずのカッコウ」は読んでみたくなった。公安警察を描いた作品だ。安倍元総理の襲撃事件が宗教と関連しているなど、公安の仕事として犯罪を犯しそうな組織の監視をするのは公安の役目だ。安倍元首相の襲撃事件は民主主義への挑戦とのことなので、公安はある意味民主主義を守る存在なのかもしれない。

公安警察は、公務員として安定した仕事ではあるが、身分を簡単に明かせないことがある。情報の専門家であった作者の言葉は非常に重く感じられた。

斎藤幸平「人新世の「資本論」」はかなり強烈なインパクトがあるようだ。大昔の「資本論」の新たな解釈。作者である佐藤優が全面的に本作を支持している。資本主義の行き着く先はどのような状態なのか。生産性を限りなく上げ続けることを前提とした資本主義は成立しない。

世間的に話題になった作品のようだが、自分はその存在すら知らなかった。直接的な危機はコロナ渦や物価上昇などがあるが、長期的な視野をもつと、この手の作品を読んで資本主義への理解を深めたいと思った。

読んでみたい作品があった。



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