機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島


 2023.2.8     オリジナルな要素を追加し尺増し【機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島】

                     
機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島 [ 古谷徹 ]
評価:3

■ヒトコト感想
大昔のTV版でのみ放送されたエピソードを映画化。当時の映画版「劇場版 機動戦士ガンダムⅠ」でカットされたエピソードなのだが、多少脚色されたとはいえ、映画化するのはかなり厳しいと感じた。TV版の中でも明らかに雰囲気の異なる作品ではあったが、なぜいまさら?というのはある。

ククルスドアンは子供たちを守るだけでなく、地球の文化を守るためにひとり戦っていた。ジオン側から見たククルスドアンの立場というのが明確に描かれている。より掘り下げた内容となっているが…。モビルスーツの戦闘という意味でもそこまで見るべきポイントがない。ファーストガンダムファンのみが楽しめるのかもしれないが、新しいガンダムファンが楽しめるかというと、微妙だ。

■ストーリー
ジャブローでの防衛戦を耐えきった地球連邦軍は勢いのままにジオン地球進攻軍本拠地のオデッサを攻略すべく大反抗作戦に打って出た。アムロ達の乗るホワイトベースは作戦前の最後の補給を受ける為にベルファストへ向け航行。そんな中ホワイトベースにある任務が言い渡される。無人島、通称「帰らずの島」の残敵掃討任務。残置諜者の捜索に乗り出すアムロ達であったが、そこで見たのは、いるはずのない子供たちと一機のザクであった。戦闘の中でガンダムを失ったアムロは、ククルス・ドアンと名乗る男と出会う。島の秘密を暴き、アムロは再びガンダムを見つけて無事脱出できるのか…?

■感想
当時のTV版を見ると、ただジオンを脱走したドアンが島で子供たちを守るためにザク単体で戦っているという流れしかない。本作は映画版ということで、ボリュームアップが必要なので細かな裏設定がある。

実はドアンはジオンの兵士として秘密の任務を受け持っていた。いざという時に地球の都市へ核ミサイルを発射するため、その施設を守っていた。。。となると話が変わってくる。ドアンは任務を遂行しているだけ。ただ、途中で考え方が変わり、子供たちを守ることが中心となった形だ。

アムロとドアンの関係も微妙だ。全体としてハウス食品が日曜日にやっていたほのぼのアニメのような絵柄が気になる。ドアンがジオンの兵士としてアムロと対峙するのではなく、子供たちを守るという意味でジオン連邦関係なく島にくる者たちを排除しようとしている。

ガンダムの売りのひとつである、モビルスーツ同士の対決がイマイチだ。高起動ザクが登場してはいるが、アクションとしてのインパクトは弱い。ドアンが実はシャアに匹敵するほどのジオン内部での伝説のパイロットというのは後付けすぎる。

連邦とジオンの駆け引きの中でゴップ元帥とマクベの駆け引きが良い。マクベが冷酷非道なキャラとして登場し、ドアンがその野望を崩す。アムロやドアンなどのメインどころ以外のキャラたちの方が印象深い。

ただ、やはりこのエピソードを映画化しようとしたのは失敗だろう。どうストーリーをこねくり回したとしても大作とはなりえない。TV版には登場しない外伝的作品の方がもっと自由に物語を展開できたのだろう。元ネタがあるだけに広げづらい状況となっている。

自分は楽しめたが、かなり見る人を限定する作品だ。



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