神様のお父さん ユーカリの木の陰で2 


 2024.10.7      古典を大事にする作者 【神様のお父さん ユーカリの木の陰で2】


                     
神様のお父さん (ユーカリの木の蔭で 2) [ 北村薫 ]
評価:2.5
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■ヒトコト感想
作者である北村薫が映画や落語などについて語る。いつもの通り、古典や落語に詳しくないと本作の魅力を百パーセント感じることはできないだろう。作者が気になった一節から連想が広がり新たな世界が広がる。作者の並べる固有名詞や作品名になじみがなければ何のことを言っているのかわからない可能性がある。

自分の場合は、作者の作品をそれなりに読んできたので、それなりに楽しむことができた。ただ、百パーセント楽しめたかというとそうでもない。特に落語関係の話についてはほとんどついていくことができなかった。特に古典についてはちょっと読みたくなるような気持になるのかもしれない。読む人を選ぶ作品であることは間違いない。

■ストーリー
古今の小説や随筆、評論に歌集、歌舞伎、落語、映画まで、本の達人・北村薫がふと気になった一節から自由に連想をひろげてゆく、驚きと楽しさが詰まった極上の読書エッセイ。

■感想
北村薫は最初はミステリーという印象があった。それが、いつの間にか日常のミステリーという流れから、古典を大事にする作者という印象が強くなった。特に落語家を主役にしたような作品もあり、落語や古典に力を注いでいるというのはよくわかる。

さらには、作者が過去に語っていたこととしては、これから先、年齢的にも読める本の数は決まっているので、新しい作品ではなく過去の名作を読むことにしたいと断言していた。この感覚が分からないのは間違いない。

ミステリーとして最新のトリックを取り入れた新しい作品を読むつもりはないのだろう。古典の名作を読むことに力を注ぐ。それらが生かされているのが本作なのだろう。古典の中に登場してくる一節から想像を広げる。

それが正しいのかどうなのかはわからない。この感覚は、どうにも理解できない。例えば映画鑑賞にしても、見ることができる作品数は限られているのは間違いない。だからといって、これからの時間を過去の名作だけと限定するつもりはない。逆に新しい作品だけを見たくなる。

本の達人というだけに、過去の作品やその時の時代背景、はたまた性格までも含めて分析している。作者が想像する新たな展開が必ずしも正しいとは思わないが、新しい解釈として楽しめるのだろう。それなりにインパクトがあるのは間違いないのだが、人を選ぶのは間違いない。

この手の古典の分析エッセイ的なものはそれなりに読んできたのだが、一番難解なのは、作者の作品であることは間違いない。それくらい、自分と作者の趣味が異なるということなのだろう。

かなりハードルの高い作品だ。



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