情景の殺人者 


 2024.9.14      芸能界が舞台の殺人事件 【情景の殺人者】


                     
情景の殺人者 Scene Killer (講談社ノベルス) [ 森博嗣 ]
評価:2.5
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■ヒトコト感想
XXシリーズ。ちらりと西之園の名前が登場する程度で、キャラとしてはS&Mだとかの有名シリーズとは別物と考えてよい。これまでのシリーズ作品の特徴としては、特別なトリックがあるわけでもない。どちらかといえばキャラクターの特徴でシリーズとしてのポイントを生み出している。探偵事務所を引き継いで営んでいる小川が、アルバイトの加部谷や作家の雨宮と協力して犯人を探し出す物語だ。

単純な探偵ものに近いだろう。今回は舞台が映画撮影場であり被害者や容疑者が俳優というのが少し異なっている。有名人が関係すると、マスコミが動き出し、インタビューをし本を出版しようとする雨宮は必死となる。ラストの種明かしもわりと想定の範囲内だ。

■ストーリー
真っ白い雪の上、胸にナイフを刺され、血を流して横たわる美女。被害者どうしに接点はなく、時期も場所も異なるが、現場の状況には類似性がある一連の殺人事件。最初の被害者の夫が撮った映画には、事件を彷彿とさせるシーンがあった。女性二人の探偵事務所に持ち込まれた浮気調査は、映画監督で舞台演出家、作家でもある彼の二人めの妻に関わるものだった。浮気の証拠を掴むための張り込み中、都内では珍しく積もるほどの雪が降り始めた。

■感想
作者の作品は理系的なイメージが強い。ザ理系であるウォーカロンシリーズと比べると、ものすごく普通な文系のミステリーといってもよいだろう。人間の心情や関係性で事件が起こる。雪の中で美女が血を流して倒れているという情景的な特徴はあるのだが、それ以外は普通だ。

映画の撮影場で起こった過去の事件と、現在の殺人事件。関係者は有名俳優たちばかり。舞台が準備されている中での事件なので、容疑者が関係者となれば舞台の発表さえも怪しくなる状況だ。

探偵事務所は小川と加部谷だけで運営されているようだ。鷹知からの仕事がメインとなっているが、事務所としてはギリギリの状態らしい。小川が何か特別な能力があるというわけでもなく、加部谷も特殊なわけではない。

金がない貧乏アルバイターである加部谷が将来に悩んだり、女らしくないことに苦悩したり。対して加部谷の知り合いである雨宮は本を出版したりと勢いがあり、女としてもかなりのレベルにあるために加部谷がコンプレックスを感じたりもする。この流れは特に事件には関係ないくだりだ。

事件は有名人たちが被害者であったり容疑者であるため、マスコミが押し寄せてくる。情報の扱いに注意が必要であり、過去の事件関係で衝撃的な告白があったりもする。刑事と小川が知り合いとなり、協力して事件を解決しようとしている。

そこから、ラストの犯人逮捕の流れとなる。加部谷や雨宮は何も知らされていないので、必死に犯人を逮捕しようと動くのだが…。最後に良いところだけ鷹知がしゃしゃりでている。キャラクターの個性はそこまでないので、特徴としてはあまりない。

シリーズとして続くのだろうか。。



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