2023.8.17 ネット上の誹謗中傷者を一撃で殺す【いぬやしき】
いぬやしき スタンダード・エディションDVD [ 木梨憲武 ]
評価:3
■ヒトコト感想
マンガ原作の本作。マンガはあの「GANTZ」の作者だ。作者の特徴として理不尽な出来事が起きてそれを受け入れ、虐げられた者が変貌していく姿を描くのがすばらしい。犬屋敷と獅子神が宇宙人の力を手に入れる。強烈なのは、様々な出来事から世間に恨みを持ちテロ行為に走る獅子神だ。幸せな一家を惨殺し、指名手配される。
そこからSNSの心無い書き込みやマスコミの報道により母親が自殺する。ここでの獅子神の怒りとそこからの報復行動がすさまじい。ネットを通じて相手を殺害するなんてのができると、もはや誰も獅子神を止めることはできない。SNSや5ちゃんねるに書き込むネット民へ復讐する。最も強烈なのはワイドショーの司会者へ生電話し、その直後に殺している場面だ。
■ストーリー
定年を間近に控える冴えないサラリーマン・犬屋敷壱郎(木梨憲武)は会社や家庭から疎外された日々を送っていたが、ある日突然、医者から末期ガンによる余命宣告を受け、深い虚無感に襲われる。その晩、突如墜落事故に巻き込まれ機械の体に生まれ変わった彼は、人間を遥かに超越する力を手に入れることに。一方、同じ事故に遭遇した高校生・獅子神皓(佐藤健)は、手に入れた力を己の思うがままに行使し始めていた。自分の意志に背く人々をただただ傷付けていく獅子神と、獅子神によって傷付けられた人々を救い続ける犬屋敷。
■感想
冴えない定年間近のおじさんの犬屋敷。家族に虐げられみじめで仕方がない。せっかく苦労して手に入れたマイホームが家族からボロクソに言われる。挙句は体に癌が見つかり余命わずかとわかる。さんざんな目に合う犬屋敷だが、最終的には公園でUFO墜落事故に巻き込まれ機械の身体に生まれ変わる。
その場に偶然いたのは獅子神だった。犬屋敷が機械の身体になってからが本番だ。犬屋敷が戸惑い続けるのとは裏腹に、獅子神はさっそく機械の身体を使いこなし、同級生のいじめの首謀者を痛い目にあわせたりもする。
恐ろしいのは獅子神の存在だ。生い立ちや周りの環境の不運はあるにせよ、短絡的に殺しにつなげるのがすさまじい。獅子神が手を銃の形にして相手に向かってバンと言うと、相手は銃弾に貫かれたように死んでいく。その能力はネットを経由しどこにでも通じる。
家でSNSに誹謗中傷を書き込むオタクのモニターに獅子神が映ると、そのまま相手を射殺している。新宿の巨大モニターに獅子神の姿が映り、そこでバンというと、交差点を歩いている人が次々と銃弾に打ち抜かれていく。すさまじい能力だ。
最終的には犬屋敷と獅子神の対決となる。機械の身体同士の対決で、犬屋敷が奇跡的に勝利する。娘だけが犬屋敷の正体を知り多少家族の環境として改善されるのだが…。結局犬屋敷は変わらない。獅子神が怒りに震えた世間も何も変わらない。
獅子神が起こした無差別殺人事件については、詳細は検討されることなくうやむやに済まされるのだろう。獅子神は確かに異常だが、一斉に世間が同じ方向に向き、マスコミが一斉に押し寄せ獅子神の母親を自殺に追い詰めたのはリアルすぎる。
すさまじい作品だ。
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