2017.1.28 絶望的な恐怖感は少ない 【GANTZ】
評価:2.5
■ヒトコト感想
原作マンガを読んでいたので、すんなりとストーリーに入ることができた。が、かなりストーリーは変わっている。ガンツの不条理さや理不尽さ、そしてアクション的には十分原作の良さが表現されているが、純粋なファンは納得いかないかもしれない。そもそも主人公の年齢設定が異なっており、キャラ的にもどことなくさわやかだ。
星人たちとの戦いにおける圧倒的な絶望感や、グロテスクさは表現できており、目を離すことができない。ただ割と敵キャラの数を減らしたり攻撃方法を簡略化したりと、実写用にアレンジされている。原作を知らなければ十分満足し、後編を見たいと感じるだろう。原作ファンは…。長大な原作マンガをどううまくまとめるのか、後編に期待だ。
■ストーリー
幼馴染の玄野と加藤は、線路上に転落した酔っ払いを助けようとして電車に轢かれてしまう。次の瞬間2人は見慣れぬマンションの一室にいた。そこには同じように“死んだはずの人々”が集められ、リビングの中央には“ガンツ”と呼ばれる謎の大きな黒い球が異様な存在感を誇っていた。
出ることの許されないその部屋で、生き残るためのミッションを“ガンツ”から与えられる。それは“星人と戦い、殺すこと”。
■感想
前編として描かれた本作。原作ファンは納得できないかもしれない。が、原作を知らないていで見た場合は、強烈なインパクトがあることは間違いない。死んだはずの人間がひとつの部屋に集められ、突然ミッションがスタートする。
何の説明もないので、本来必要なガンやスーツを着ることなくミッションに挑むと、瞬く間に星人に殺されてしまう。主人公のクロノは原作ではちょっと陰険な暗いキャラだが、実写化ではさわやかな雰囲気をだしている。クロノの幼馴染である加藤も、原作のイメージとは異なっている。
本作の見どころは、何も知らない者たちがミッションに入っていく過程とそこでの戦いだろう。唯一多くの情報を持っている西だけが、ひとり得点を稼ごうとする。そして、星人たちに対する圧倒的な暴力。グロテスクな描写が続くため、耐性のない人は辛いかもしれない。
クロノたちが星人を攻撃するのと同様に、星人たちも人間をあっさりと殺してしまう。まさにゲームがそのまま現実になったような世界だ。当然ながら突然そんな世界に放り込まれた人々は困惑し、殺されていく。この理不尽さがガンツの面白さのひとつだ。
本作は千手観音の部分まで描かれている。ラスボスが千手観音ということで原作の不気味さはないが、流れとしては良い。ただラスボスであるはずの千手観音が剣で刺すだけというのはいただけない。原作での圧倒的な強さによる絶望感が伝わってこない。
クロノたちのスーツの防御力を無効にするビームや、酸による攻撃などの恐怖が少ない。そのため、クロノが最後に苦労して倒したとしても、ごく普通のアクション映画の終わり方とかぶってしまう。ガンツらしさは、主要キャラであろうとあっさりと死ぬところにあるのだが、なんだかその絶望感をあまり感じることができなかった。
長大な原作を、残りの後編でどのように締めるのか。気になるところだ。
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