いけない2 


 2023.5.13      恐ろしいミステリアス短編集 【いけない2】

                     
いけない2 [ 道尾秀介 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
「いけない」の第2弾。それぞれの短編は独立しているが、同じ地域での出来事なので、他の短編との繋がりがしだいに見えてくる。短編単体として読むとちょっとしたミステリアスな短編という形だが、他の短編でミステリーの真相が明らかになったりもする。奇妙で恐ろしい事件が起こる。第一章は一年前に姿を消した姉を探す妹の物語だ。山の避難小屋に住む怪しげな男がカギとなる。

第二章は少年たちが肝試しを行うために、奇妙な首つり人形を作っている伯父さんを頼り仕掛けを作ろうとするのだが…。第三章は年老いた夫婦が息子を殺害し埋めたという証言があり警察が調査するのだが、死体が存在しない。となると、事件としては成立しないのだが…。おどろおどろしい短編ばかりだ。

■ストーリー
第一章「明神の滝に祈ってはいけない」桃花はひとり明神の滝に向かっていた。一年前に忽然と姿を消した姉・緋里花のSNS裏アカウントを、昨晩見つけたためだ。失踪する直前の投稿を見た桃花には、あの日、大切にしていた「てりべあ先生」を連れて姉が明神の滝に願い事をしに行ったとしか思えない。手がかりを求めて向かった観瀑台で桃花が出会ったのは、滝の伝説を知る人物だった。

第二章「首なし男を助けてはいけない」夏祭りの日、少年は二人の仲間を連れて大好きな伯父さんを訪ねる。今夜、親たちに内緒で行う肝試し、その言い出しっぺであるタニユウに「どっきり」を仕掛けるため、伯父さんに協力してもらうのだ。伯父さんは三十年近くも自室にひきこもって、奇妙な「首吊り人形」を作っている。その人形を借りて、タニユウの作り話に出てきたバケモノを出現させようというのだ。

第三章「その映像を調べてはいけない」「昨夜……息子を殺しまして」。年老いた容疑者の自白によれば、息子の暴力に耐えかねて相手を刺し殺し、遺体を橋の上から川に流したという。だが、その遺体がどこにも見つからない。必死で捜索をつづける隈島刑事は、やがてある「決定的な映像」へとたどり着く。彼は先輩刑事とともに映像を分析しはじめ――しかし、それが刑事たちの運命を大きく変えていく。

そして、書き下ろしの終章「????????はいけない」――すべての謎がつながっていく。前作を凌ぐ、驚愕のラストが待つ!

■感想
「明神の滝に祈ってはいけない」では、桃花が姉の緋里花を探すために山に入り込む。桃花が出合ったのは滝の伝説をしる山の避難小屋に住む男だった。桃花と男の視点で物語はすすんでいく。桃花は男が何かしら姉に対する情報をもっていると考え男に近づいていくのだが…。

男の視点で何かしら男に秘密があることが描かれている。ただ決定的な証拠がないまま、桃花に何事かが起きたというのが描かれている。非常にミステリアスであり、この短編だけを読むと謎が解けないまま終わっていると感じてしまうだろう。

「首なし男を助けてはいけない」はタニユウを肝試しに誘い驚かせるために仕掛けをする少年の物語だ。ひきこもりの伯父が作成した首つり人形を外にもって出て驚かせようかと考えたのだが…。首つり人形を仕掛け終わった後、伯父が車の運転を誤り首つり人形を川に落としてしまった。

少年がその後に事件が起きた場所に戻ると首つり人形は変化なくその場にあった。だとすると、伯父が跳ねた人と思われる物体は何だったのか?同じころに待ち合わせをしたタニユウがやってこないと問題になっていた。。。非常にハラハラドキドキする流れだ。

「その映像を調べてはいけない」は、息子を殺害したと自首してきた老夫婦を調査する刑事の物語だ。老夫婦の証言に基づき死体を探すのだが見つけ出せない。死体が見付からないと事件として成立しない。刑事は老夫婦の車のドライブレコーダーの映像を調べたのだが…。

死体がどこに埋まっているのかがポイントだ。そこからラストの章ではすべてが明らかとなる。各事件の結末が明らかとなり、第一章の事件の真相も明らかとなる。そして、すべての章の事件が繋がりラストの流れとなるのがすばらしい。

各章の謎が最後に解けるのがすばらしい。



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