奏鳴曲 北里と鴎外 


 2022.11.15      北里と鴎外、ふたりのライバル関係 【奏鳴曲 北里と鴎外】

                     
奏鳴曲 北里とおう外 [ 海堂尊 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
丁度「北里柴三郎」を読んだので、本作もすんなり入り込むことができた。北里と森鴎外。それぞれ名前は知っているが、どれだけの功績をあげ、またライバル関係にあったのか。それぞれがドイツへ留学し感染症を研究する。それぞれの主張が対立することがあり、世間的にもライバル関係とみなされたりもする。

特に脚気については森鴎外が最後まで米食にこだわり、麦飯を食べることで改善した実績があったとしても栄養のバランスが崩れることで脚気が発生するとは最後まで認めようとしなかった。本作だけ読むと北里は最後まで自分の信念を貫き、森鴎外に勝利しているように思えてくる。その他、ふたりの周りにいる人々についても興味深い描かれ方をしている。

■ストーリー
明治時代のニッポンにも、感染症との終わりなき闘いに挑んだ二人の男がいた。コロナ禍で、「感染症学」に注目が集まるなかで、医師である著者が、北里柴三郎と、軍医・森おう外のライバル物語を描く。ドイツ留学を経て、ペスト菌を発見し、「日本の細菌学の父」の異名を持つ北里。一方のおう外は、同時期にドイツで学び、帰国後、陸軍で最高位である軍医総監にまで上り詰めた。二人は、互いへのライバル心を燃やしながら、「感染症から国民の命を守る」という同じ目標へと突き進んでいた。その二人がなぜ道を違え、対立したのか。誰も描かなった、北里とおう外の相克の物語が誕生した。

■感想
北里柴三郎と森鴎外を描いた作品。ライバル関係にあったふたり。どちらも東大卒で感染症の研究に力を注ぐ。北里柴三郎の方はお札の肖像画にまでなるほど有名である。対して森鴎外については医者というよりは作家のイメージの方が強い。

本作ではドイツ留学でのライバル関係やそれぞれの女性関係まで、どちらも有名人であるだけに政治的な駆け引きに巻き込まれる場合もある。福沢諭吉により北里は伝染病研究施設を手に入れることができる。どちらが勝ちというのはないが、北里の方が優勢に思えてきた。

ふたりの周りの人物たちもかなり強烈に描かれている。特に北里や森の上司。そして、ドイツ留学に際しての手を貸してくれた者たちまで。特に北里についてはドイツ留学を何度も延長しそこで成果をだしている。

ひとつのことに集中し成果をだすために徹底的にやり続ける。それは政府の方針と真逆の流れかもしれないが、自分の信念を曲げることはない。対して森鴎外は、政府のいうことを割とよく聞くのだが、いざというときは、周りの助けを借りながら目的のためにドイツへ居残ったりもする。

強烈なのはそれぞれの女性関係だ。鴎外はドイツに恋人をつくり日本に連れて帰ったりもする。ただ、日本では親が勝手に許嫁を決めておりドイツ娘をドイツに帰すことになる。北里についても日本には妻がいるにもかかわらずドイツで恋人を作るのは当然として、ドイツを離れる際にはあっさりと金を渡して手を切っている。

日本では娼婦を身請けしたりとかなり女性関係には自由だったのだろう。時代もあるのだろうが、有名人のふたりの女性スキャンダルであれば、いまなら一気に職を失うまでいってしまう可能性がある。

ふたりの関係性がよくわかる作品だ。



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