2023.9.23 資本主義を止めない限り、環境負荷は減らせない 【「人新世」の資本論】
人新世の「資本論」 (集英社新書) [ 斎藤幸平 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
佐藤優の「危機の読書」で紹介されていたので読んでみた。前段として資本論は読んだことがない。この手の内容について知識があるわけではない。それでも十分に楽しめた。資本主義を続ける限りは環境を守ることはできない。気候変動を放置すればとんでもないことが起きるが、割を食うのは発展途上国だ。結局は資本主義を牛耳っている先進国が得をするようにできている。
日本人のほとんどが先進国で世界の裕福な10%のうちに入る。となると、まずは日本人たちが本当に環境のことを考えるなら、やるべきことは沢山ある。が、今更それはできないのだろう。皆目先の幸せを考え、アリバイ作りのように子供たち世代のためにSDG'sなんてやってみたりする。とりあえず作者が言いたいことは何となくわかった。
■ストーリー
人類の経済活動が地球を破壊する「人新世」=環境危機の時代。気候変動を放置すれば、この社会は野蛮状態に陥るだろう。それを阻止するためには資本主義の際限なき利潤追求を止めなければならないが、資本主義を捨てた文明に繁栄などありうるのか。いや、危機の解決策はある。ヒントは、著者が発掘した晩期マルクスの思想の中に眠っていた。世界的に注目を浴びる俊英が、豊かな未来社会への道筋を具体的に描きだす。
■感想
そもそもが資本論を読んだこともないし、資本主義もなんとなくしかわかっていなかった。本作を読むことで、その初歩の初歩が分かった気がした。世間では企業は常に成長し続けなければならない。感覚的に現状維持できていれば今の生活ができるから良いのでは?と思っていたがそれではダメらしい。
資本主義の根本には生産性の向上がある。生産性が向上すれば売上が増えなければ従業員を減らせばよい。となると、クビを切られる従業員が増えて景気が悪くなる。成長しつづけなければならない、なんてのは半分ねずみ講のように思えてしまった。
世界では気温上昇を抑えるために二酸化炭素の排出量を減らそうと躍起になっている。ただ、経済成長を続けながら二酸化炭素の排出量を減らすのは不可能に近いようだ。世の中の仕組みとして、クリーンなエネルギーだとか耳障りの良い言葉が続いていくが、結局は化石燃料に頼るしかない。
クリーンエネルギーを1作るのに同じ電気が必要となると、ただ転嫁しただけだ。どれだけ技術革新がすすんだとしても、使うエネルギーが減ることはない。なんだか将来は絶望しかないように思えてきた。
世の中の仕組みや二酸化炭素排出量の削減がいかに難しいかはよくわかった。個人でエコバックや割り箸を使わない、なんてことをしても効果がないことも…。やらないよりマシかもしれないが、実はSDG'sも景気促進の一部になっていたりするのでは?
なんだか何をやっても環境の負荷をかけるしかない。つまり、資本主義を貫く限りは難しいということだ。となると、人間は原始時代に戻るしかないのだろう。今の便利な生活をすべて捨てて原始時代に戻れるなら、環境はクリーンになるのかもしれない。
資本主義の仕組みがよくわかった。
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