2023.4.8 遺産相続問題から英雄の人生へ 【英雄】
英雄 [ 真保裕一 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
ごく普通の家族と思っていたら、自分だけが実は別の父親の子どもだった。英美の父親は大企業の会長であり、何者かに殺害されていた。遺産相続の問題もあり、英美と殺された英雄家族の対決が始まる。。。と思いきや、英美自身が英雄の歴史を探る物語となっている。英雄がどのようにして会社を大きくしてきたのか。
また、英雄と英美の母親の出会いはどのようなもので、なぜ認知されずに英美を産むことになったのか。高度成長期の時代に、何の後ろ盾のない者が自分の会社を大きくするためには違法すれすれのことをやるしかない。そして、多数の恨みも買う。どこか英雄の立身出世の物語のようにもなっている。遺産相続のゴタゴタはあまりない。
■ストーリー
父殺害の犯人を探し求める娘が、たどりついた驚愕の真実とは? 昭和・平成・令和を貫く傑作長編サスペンス!
■感想
実の父親が別におり、さらにはその父親は大企業の会長であり、殺されていたことに衝撃を受ける英美。実の父親の存在を知らず、知らされたのは死んだあと。そして、遺産相続の話があり相手側の弁護士が即座にやってくる。
序盤は遺産相続で英雄の家族たちからどのような扱いを受けるかの物語となっている。英美の存在には気づいていたが、あえて連絡をとることはせず、英美側に気づかれたとわかると素早く動き出す。遺産分配の話なので、自分の取り分が減る可能性があるため、動きは素早くなる。
遺産分配の話から、いつの間にか英雄の人生を探る物語となっている。英美の母親と英雄がどのようにして出会い、なぜ英雄が英美の存在を公にせず隠してきたのか。英雄が社長として辣腕をふるっていた際に、仕事のできる英美の母親と出会う。
英雄の後妻から攻撃を受けることを恐れ、密に英美の母親は身を引くことになる。英雄という人物の自伝的な要素が強いのかもしれない。何もない人物が一代で大会社を築くまでには様々な紆余曲折がある。それがドラマチックに描かれている。
英雄は実は名前を変えていた。どさくさにまぎれ死人から名前を奪い取り、そして成功していた。英雄が殺された原因にもつながる過去の物語が語られる。金がない英雄が事業を広げるためには汚い手を使うしかない。その過程でヤクザたちに恨まれる場面がある。
その場面になれば、ひそかに英雄は動き相手を攻撃していた。誰もが英雄の仕業とわかっていても、英雄は巧みに隠れ名前を変えて新たな人生をスタートさせていた。英雄のドラマチックな人生がすべてだ。
殺人事件や遺産相続はどうでもよい流れとなっている。
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